住友林業がCADベースの住宅プレゼン用“3DCG”システムを開発、フォトリアルな質感と深みのある陰影を再現:3DCAD
住友林業は、シリコンスタジオと共同開発した3次元住宅プレゼンテーションシステム(3DCAD)を2019年1月2日から本格運用する。新型3DCADは、実写に迫る高画質で設計プランを3DCG化し、施主に住まいのイメージを分かりやすく体験してもらう新たなプレゼンツール。
住友林業は、エンタテイメント業界で3DCGを製作しているシリコンスタジオのレンダリングエンジンを採用した3次元住宅プレゼンテーションシステム(3DCAD)を開発し、2019年1月2日から本格的に運用を開始する。2018年12月中に住友林業の全国の支店にこのシステムを配備し、2019年1月2日から全国の住宅展示場で展開する「新春家づくりフェア」ではVRスコープを使ったVR体験会も行う。
レンダリングエンジン「Mizuchi」を採用、質感をリアルに再現
新型3DCADシステム(旧名称:Real Time 3D)は、住宅のCADデータから3DCGの施工イメージを生成し、3次元でのバーチャル内見を可能にする施主向けプレゼンテーションシステム。内観や外観をさまざまな角度から、従来よりも実際の住宅に近い状態で確認でき、設計図面から完成住宅をイメージする難しさが解消され、施主との合意形成が容易になる。
システムに搭載しているレンダリングエンジンは、旧来のものから、シリコンスタジオが開発・提供しているリアルタイムレンダリングエンジン「Mizuchi(ミズチ)」に変更。Mizuchiは、素材の材質をPBR(Physically-based rendering)化し、光の反射や拡散を物理的な計算をもとにレンダリングするため、木材、金属、ガラス、布など多種多様な素材の質感をリアルに表現する。
また、全天球画像を光源とする「IBL(Image-based lighting)」と、間接光の影響を考慮した照明技術「ライトプローブ」で、直接光と間接光を計算した空間表現「GI(Global Illumination)」により、深みのある陰影や映り込みを再現。ライトプローブは、テンプレートに従って最適な場所へ自動的に配置されるため、扱うのに専門的な知識を必要としない。
さらに、撮影レンズや眼球のまぶしさを捉えたような光の溢れ出しを表現する効果「グレア」など、グラフィックをより豊かにするビジュアルエフェクトをレンダリング済みのフレームに対して後処理する「ポストエフェクト」の機能で、住宅の空気感をも多彩に描画する。
これらの機能により、新型3DCADシステムでは、ユーザーが見たい場所のウォークスルーを体感できる他、指定した日時での太陽光の差し込み方や移り変わりも確認。さらに、外観やインテリアの多彩なカラーシミュレーションも行え、住友林業の住宅の特長となっている“無垢フロア”は、実際の床材を撮影した実写画像を用いるため、樹種ごとの表情をよりリアルに視認し、現実に近い住まいを疑似体験することが可能だ。
3DCGの空間画像は、施主と共有して、PCやスマートフォン、紙製のVRビュワーでも体験可能なため、営業の場以外の自宅でも新築住宅のイメージを何度でも検討することができ、満足度の高い住まいづくりに役立つ。
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