墨出しが不要になる完全自動の“施工図描画ロボット”、2020年の本格展開を目指す:建設×ロボット
新菱冷熱工業は、BIMデータを活用して、施工情報を現場の床に完全自動で描画するロボット「施工図描画ロボット」を開発した。このロボットは、オペレーターの操作・監視が不要で、夜間でも完全自動で配管やダクトの位置などを描画する。実用化は2020年の予定。
新菱冷熱工業は、建設現場の省力化と効率化を目的に、BIMデータを活用して施工情報を現場の床面に完全自動で描画する「施工図描画ロボット」を開発した。
施工図描画ロボットは、描画開始から終了までをオペレーターの操作・監視無しで完全自動で動くため、作業員が手作業で行っていた墨出し作業が不要となる。夜間に稼働させれば、人手不足の解消だけでなく、工期の短縮も見込める。
ロボットは設備BIMのデータを取り込み、多様な施工情報をそのまま現場の床面に描く。描画の際には、視認性も考慮して、多色で鮮明な線や文字を描くことが可能だという。描画するのは、機器を据え付ける位置と高さ、アンカーボルトの位置、配管・ダクトの系統名・ルート・高さなど。描画した情報で、施工図が手元になくても、直感的に、機器・配管・ダクトの据え付け作業や据え付け後の施工確認が行える。
新菱冷熱工業は、30年前より3次元CADに取り組み、現在では、独自に開発した3DCADソフト「S-CAD」を運用。3次元レーザースキャナーで取得した点群データを読み込み、既存建物・設備の改修計画に役立てる3次元モデル化をはじめ、機器の配置やメンテナンスなど空調の調整・管理、CFD(Computational Fluid Dynamics)による空調シミュレーション、維持・管理を含めたファシリティマネジメントまでの全工程をBIMモデルで行っている。
施工図描画ロボットは、2018年12月から新菱冷熱工業が手掛ける施工現場に試験導入して、効果検証を進め、2020年の本格展開を目指す。
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