VR×ザブトンで地震を体感、ビルの揺れを可視化するシステムも出展:住宅・ビル・施設Week 2018(2/2 ページ)
白山工業は「第3回 スマートビルディングEXPO」で、専用の“ザブトン”に座り、VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着すると、地震の揺れをリアルに体験できる「地震ザブトン×VR」の他、地震発生時のビルの揺れを可視化する低・中層にも対応したビル管理システムを展示した。
被災度判定支援システムで、構造体・非構造体の被災状態を推定
会場では、高層・超高層以外にも、中・低層ビルにも対応した計測地震防災システム「VissQ(ビスキュー)」を設置したビルの模型も展示。
ビスキューは、地震計センサーをビルの5〜8階ごとに設置し、LANケーブルで、地震計記録部やモニターへとつなぐ。ビル各所に、地震計を設置することで建物全体の揺れをリアルタイムに把握でき、実際の揺れの状況に合わせた対応が可能になる。
緊急地震速報を受信すれば、揺れの到達前にビル設備の制御や避難対策が講じられ、長周期地震動の発生が予測された場合は、地震発生後にも、建物利用者への注意喚起・エレベーターの停止などで、2次災害が防げる。
また、複数施設を展開する企業や組織では、一元的に施設を管理していれば、各施設の被災状況を一目で確認し、優先順位を付けた復旧計画が立てられる。
被災度判定支援システムでは、建物の情報と実測の加速度データから、建物の柱や梁(はり)などの構造体や什器・天井など非構造体の状態も推定。建物の継続使用・事業継続・帰宅困難者の受け入れ、設備点検の優先度などの判断に生かせる。
ビスキューは、免震構造を有するビルに応じた「VissQ-IS」もラインアップしており、地下の免震層の上部・下部に地震計を置くことで、建物の被災度支援に加え、免震有り(実測)無し(解析)での加速度値の比較により、免震効果も検証できる。さらに、加速度値をもとに算出された免震層の相対変位が、あらかじめ設定した点検要否の判定基準を超えるかどうかで、免震層の臨時点検が必要かどうかの判断材料となる。
表示機器とソフトウェアは、地震の揺れを到達前に検知する「緊急地震速報システム」、建物の揺れをリアルタイムで計測する「加速度・震度警報システム/変位警報システム」、複数棟の被災度や震度、システム動作状況を一括管理する「グループ監視システム」が用意されており、建物の種類や用途に応じてユーザーが必要なシステムを選択する。
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