確認申請ソフトの検討などを進める“bSJ”が提案するBIMによる確認申請の6ステップ:buildingSMART International Summit,Tokyo(4/4 ページ)
「buildingSMART International Summit,Tokyo」が2018年10月に開催された。プログラムの中から、buildingSMART Japan内の「意匠設計小委員会」が取り組んでいるデジタル確認申請に関する講演をレポートする。
IFCとPDFを自動重ね合わせ
安井 情報連携の標準化を行うことで、審査ビュワーソフトにも実装できると考えている。補足として、一部のソフトではBIMから書き出した時に図面とモデルが最初から重ね合わせることができるが、PDFがBIMモデルから出力されなかったとしても、モデルに後から重ね合わせることができるソリューションを考えている。
また、PDFとIFCデータをクラウド上で審査する場合の建築確認ソフトのイメージについては、審査機関側の意見を取り入れて議論している。そのソフトの案として、審査者からPDFとIFCデータを受け取り、専用の建築確認用ソフトで開く。建築確認ソフトはIFCの3DモデルとPDF図面が重なるかどうか自動的にチェックを行い、これらの整合性を確認するという案が挙がっている。
安井 このように、従来の紙の設計が果たしてきた明示的で意図的な情報伝達機能というものを再評価し、BIMにおけるモデルビューのひとつの在り方として、この考え方をIFCに取り入れられないかということを国際会議では提言している。
今後の流れとしては、建築情報の連携や業界の効率化のために3つの検討が必要だと考える。1つ目が「BIMを活用した建築確認申請の技術的課題の検討」、2つ目が「建築確認審査における確認申請ソフトの機能検討」、3つ目が「個々に作成されたモデルの共通データ環境(CED)の整備や履歴管理技術の適用」がある。とくに2つ目の確認申請ソフトの開発は今後不可欠となるだろう。
bSJでは、世界的にも珍しく申請者・審査者・ベンダー・研究機関が集まり、デジタルデータにおける建築確認申請について検討している場だ。建築確認申請は日本の法規に基づく審査であり、国際的にみれば独自の仕組みである。しかし、今回挙げたようなシステムが、実はどこの国でも応用でき、グローバルでの汎用性があるのではないかと思われる。
建築のライフスタイルの中で、デジタルデータのあるべき姿を模索し、建築情報の連携、業界の効率化につながる検証を行い、IFC実装に向けた活動を行っていく。
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