建設ICT市場の成長を目指す「アクティオ版i-Construction」、ICT土工体験会から探る:i-Construction(3/3 ページ)
建設機械レンタル大手のアクティオは2018年11月30日、ICT建機やドローン測量など、アクティオが提供する建設向けICT製品群を一堂に集めた体験会「i-Constructionプレスセミナー」をアクティオ千葉トレーニングセンターで開催した。
3次元設計データと出来形データを合わせ、差分を色分け表示
ICT建機の解説では、バックホウでデモを行った。ICT建機のシステムは、大きく分けて「マシンコントロール」「マシンガイダンス」の2つ。
マシンコントロールは、重機に入っている設計データと自分のいる位置を自動計算して、バケットの高さ・位置を設計の高さ・位置に自動で合わせし、必要以上に掘り過ぎたるすることがない。半自動で動くため、若手オペレータでも、熟練と変わらない施工が可能になり、施工品質の向上につながる。
一方のマシンガイダンスは自動車で言うと、カーナビに相当。モニターに操作方法を表示し、人によるマシン操作をサポート。自分の動かしている建機の刃先位置も映し出されるため、設計データとの差分もリアルタイムで確認しながら操作することができる。
ICT建機の位置情報の取得は、プリズムを搭載した重機を捕捉するトータルステーションを現場に立てて行った。トータルステーションはレンズ部分が対象物を追尾するため、重機が現場のどこにいるかを常に把握し続ける。
もう一つの方法が、地図アプリやカーナビにも用いられているGNSS(全地球航法衛星システム)の活用。人工衛星からの位置情報を把握して、どこに重機がいるかを確認する。この位置情報の技術を使うことで、ICT建機のコントロールやガイダンスの機能を利用することができる。これにより、従来必要だった高さを見る丁張(ちょうはり)や補助員が不要となるため、施工時間の削減、省力化がもたらされる。
施工後の出来形計測では、再びプリズムとトータルステーションで、起工測量よりも精度かつ資格が求められる「出来形計測」を実施した。現場事務所では、3次元の設計データと出来形のデータを重ね合わせることで、設計面と実測した標高地が規格値内に収まっているかを色分けされたデータで確認した。
最後に、出来形管理ソフト上から、納品するPDF帳票に出力するところまでを実演して閉会した。
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