建設業4業種の第2四半期決算から見る市況概要、ゼネコンが収益性改善(2/2 ページ)
ヒューマンタッチ総研は独自に分析した「2019年3月期第2四半期決算から見る建設市場の動向」を公表した。ゼネコンは大林組が売上高・営業利益ともに過去最高益。鹿島建設、大成建設は通期の利益予想を上方修正し、全体的に収益性の改善が進んでいることが判明した。
電気設備工事業は増益企業が3社から5社に増加
電気設備工事業は、増益企業が第1四半期の3社から5社に増加し、収益性の改善が進んでいる。個別企業を見ると、コムシスホールディングスと協和エクシオは、それぞれ同業との経営統合を行うことを発表し、通期業績予想を売上高、利益ともに上方修正している。
管工事業は、業界首位の高砂熱学工業が増収減益に転じるなど、増収増益企業は第1四半期の5社から4社に減少。日比谷総合設備は手持ち工事の進捗が予想を下回ったことなどを理由に、通期業績予想を売上高、利益ともに下方修正した。また、大成温調も利益率の高い大型の手持ち工事数件が工期延長になったため、利益予想を下方修正している。
一方、三機工業は好調な受注、工事収益の改善を背景に、通期業績予想を売上高、利益ともに上方修正している。
ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸氏は「2019年3月期第2四半期の主要建設関連企業の決算を見ると、第1四半期に好調であった土木工事業が収益面で厳しい決算に転じている。NIPPO、前田道路、東亜道路工業の3社は、減益の主な要因として原料価格の高騰を挙げており、上昇する建設コストを吸収して、利益を確保できるかどうかが大きな経営課題になると考えている」と予測。
一方、「第1四半期に収益面で厳しい決算となっていたゼネコンは、鹿島建設と大成建設が通期の利益予想を上方修正するなど、収益性の改善が予想以上に進んでいる。ゼネコンの前期(2018年3月期)決算は非常に高い利益水準であったために、各社ともにある程度の収益性の低下は織り込み、今期は厳しめの利益予想をしていたが、第2四半期までの資材や労務費の上昇が予想を下回ったことから利益予想が上振れしたとみられる。下期においては設計変更や追加工事の確保によって、さらなる収益性向上が期待できる」とコメントしている。
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