鴻池組の「ICT推進課」が推進するICT/BIMの活用、現場ごとに独自の“BIM取り組み案件追跡表”を運用:BIM(2/4 ページ)
鴻池組では、「ICT推進課」を2017年に開設し、BIMとさまざまなICT技術とを組み合わせ、現場での活用検証を進めている。BIMに関しては、独自に「BIM取り組み計画書」を策定し、設計・施工BIMをはじめ、3Dプリンタによる模型の出力や施主へのVR提案なども含めた、ICTへの取り組みを可視化できる体制を整え、ICTによる業務改革を推進している。
現場所長と「BIM取り組み計画書」を作成し、追跡表で取り組み実績を確認
発足したICT推進課では、BIMおよびICTのマネジメント、新技術の活用検証を行っている。内田氏は、「BIMを含めたICT技術には、もっともらしいけど実際には定義や意味が曖昧な“バズワード(buzzword)”ジレンマがある」と指摘。具体的には、ビッグデータ、AI、ブロックチェーン、IoT、ICT、BIMなどが相当する。ICT推進課はこれらのICT技術をBIMツールの点として捉え、これらを線でつなげていくことを目指した。
ICT導入にあたっては、昔からあるMOT(Management of Technology)が重要で、自社の中に新技術を採り入れるには、ルール作りよりも、誰がマネジメントするかが問題となる。将来的に建設業の人材は減っていくといわれているが、逆にテクノロジーを扱える人材(=マネジメントできる人材)を増やしていくことで、建設業における人手不足などの問題を解決することができる。
例えとして、「信号機や横断歩道など交通ルールは自動車が登場した後に整備されたはず。BIMやICTにしても、ルール作りは後で構わず、まず扱えることが前提でなければならい」。
ICT推進課が開設直後に、日本建設業連合会(日建連)の「魅力ある建築生産の場づくり・人づくり」をテーマにした2017年度のアイデアコンペで、同課は「Craftsman NEO(クラフトマン ネオ)」と題してプレゼンし、高い評価を受けた。この提案は、2025年万博の開催を目標に、ICT技術と古くからある匠の技を掛け合わせ、伝統技術を新たに生まれ変わらせるというもの。具体的には、「コミュニティーツール」「ロボット」「AI(アシスト知能)」「ドローン(SKYWAY)」「3Dプリンタ」「クラウド」「ウェアラブル端末」「スマートグラス」の七つ道具ならぬ、8つの先端技術で、これまでの人が人を支える時代から、テクノロジーが人を支える未来像を提示した。
BIMの社内での取り組みでは、まず対象とする現場を選定。現場の所長と独自に運用している「BIM取り組み計画書」を作成する。計画書には、各工事でのBIMモデル作成やVR、3Dプリンタの活用などをまとめた「BIMメニュー」が記載されており、どのICT技術に取り組むか所長の意向を聞く。実際に取り組んだかどうかは、「BIM取り組み案件追跡表」でチェック。
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