BIMをベースに人が感じる室内の明るさをVRで再現、設計段階で“明るさ感”の合意形成に
竹中工務店は、VR(Virtual Reality)技術を活用して、現実に近い形で室内空間の明るさを設計段階で確認できるツールを開発した。
竹中工務店は、ビジュアル・テクノロジー研究所と共同で、建築物の設計段階において、室内空間の“視環境評価”を可能にするVRツールを開発した。このツールには、東京工業大学の特許技術が利用されており、建築物の輝度分布に基づいて、空間の明るさ感をシミュレーションして仮想空間に反映させることができる。
輝度の対比と目の順応効果を加味し、人が感じる明るさや見え方を再現
これまでに竹中工務店は、景観や建物の内外観を疑似体験できる「visiMax(ビジマックス)」、PCやiPadなどで容易に3D体験が可能な「VRuno(ブルーノ)」といった建築物内の空間体感を支援する各種ツールを開発してきた。
しかし、実際の建築空間では、目で見ている対象物と周囲の輝度との対比からくる影響の他、目が順応することで同じ輝度値でも暗く感じたり、明るく感じたりすることがあり、人の目で見た明暗までは再現ができていなかった。そのため、人が認識する“明るさ感”を正確に表現する輝度画像を用いた画像変換技術が必要とされていた。
今回開発したVRツールでは、現実に近い空間の明るさを仮想空間で体感することを可能にした。建築前と建築後で、明るさ感のイメージに相違が無くなり、設計者と建築主の早期の合意形成につながる。
VRデータの作成手順は、BIM(Building Information Modeling)モデルをベースに、光シミュレーションツールを用いて、空間の輝度画像を作成。東京工業大学・中村芳樹教授が開発したアルゴリズムによって、得られた輝度画像に輝度の対比と目の順応の効果を加味して、人が感じる明るさや見え方に近い画像に変換する。
最後にVRで閲覧できるようにするため、360°画像へと、VTLと共同開発した技術で変換。これをヘッドマウントディスプレイを装着して、外からの光を遮断した状態で見ると、輝度分布に基づく人が感じる空間の明るさ感をVRによって体感できる。
通常の利用方法としては、実際にはまだ完成していない建築空間を設計段階でシミュレーションし、視環境評価に用いることが想定されている。
開発ツールの検証では、同社オフィスのBIMデータをシミュレーションして、実物との比較検証を行った。結果として、通常のCG画像に比べ、明暗のコントラストがリアルに再現され、暗さに順応した目でみると光源もまぶしく見えるなど、現実に近い明るさを再現できたことが確認されたという。
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