凸版印刷が「IoT建材事業」をスタート、初弾に単身高齢者の孤独死を防ぐ“センサー床材”を発売:IoT建材(4/4 ページ)
凸版印刷は、強みとする建装材と、IoT技術を組み合わせた“IoT建材事業”を新たに立ち上げる。第1弾として、床材と圧力センサーを融合させた「ロケーションフロア」を開発し、2018年12月から独居老人の見守り用途など、住宅メーカー、医療・介護業界、自治体などへ本格的に販売していく。
ホテル建設ラッシュや再開発などの非住宅の建材市場を見込む
土足環境で使用できる床用化粧シート「101 REPREA Smart NANO AREZA(アレーザ)」は、生活・産業事業本部 環境デザイン事業部 建装材品質保証本部 本部長・木村武司氏が紹介した。
非住宅分野では、天然木(無垢材)を使用したフローリングが多く、色違い・色むらの発生をはじめ、希少材種の入手が困難であることや擦り傷・紫外線に弱いなどの問題があった。一方で、高品質な建装材への需要は、訪日観光客増加による宿泊施設の建設ラッシュや首都圏を中心とした再開発プロジェクトなどを追い風に拡大を続けており、これに応じる目的で土足用の床用化粧シートを市場投入した。
マンションのフローリングでは、印刷化粧シートのシェアは今や8割を超えており、そのスタンダードとなっているのが2017年にリリースした「101 REPREA(レプリア)」。これにSmartNANO技術を駆使して、擦り傷、汚れ、色あせに強い床材アレーザを開発した。生活環境を考慮して製品設計されているため、雨にぬれた靴でも滑らず、台車のキャスターへの耐性も有する。
ラインアップは、住宅向けの床用シートとして人気ブランドのレプリアシリーズより、ニースオーク、ブレンドチェリー、プレッツァウォールの3柄をチョイス。色むら・色ブレの心配ないため、順次、最先端のデザインを追加していくことが可能だ。
また、建具・壁面・ルーバーに対応可能な化粧シート「101エコシート」を組み合わせることで、非住宅分野においても空間全体のトータルコーディネートが行える。
価格は3000円/m(化粧シートのみの材料設計上代。基材や接着剤などは別途見積もり)。ホテル、オフィス、商業施設などの非住宅施設向けに拡販し、2020年度には「Smart NANO」シリーズ全体で関連受注を含めて、約500億円の売上を目指す。
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