地理空間情報科学で未来をつくる「G空間EXPO2018」、G空間を駆使した最先端技術が集結:G空間(2/3 ページ)
地理空間情報(G空間)をテーマにしたイベント「G空間EXPO2018」が2018年11月15日、東京・お台場の日本科学未来館にて開幕した。主催は国土交通省。入場料は無料(常設展示を見る場合は入館料が必要)で、会期は2018年11月17日までの3日間。
地上と地下の高精度モバイルマッピングシステム
CVビジネス研究会は、道路構造物の自動認識にも使える車両に搭載する高精度モバイルマッピングシステム「IMS3」、地下空洞の探査装置「GMS3」を1台に組み合わせた「GMS3-mini」を出展した。
IMS3は、レーザー点群を用いずに、カメラの相対位置と姿勢(CV)を画像解析のみで把握する高精度計測システム。IMU/Gyroも不要で、車外に全周囲カメラ2機、鉛直センサー、GPSアンテナ、GNSSアンテナ、車内にはGNSS受信機(HDD/SSD×2)、撮影PCのシンプルな構成。秒間最大16フレームを撮影し、2台のカメラ位置や傾きを映像処理によって自動的に求め、映像内で地物間の距離や面積などの3次元計測が可能となる。
車への機器の着脱が可能な上、バッテリーから電源供給もできる。搭載車種は選ばず、走行速度時速60km(キロ)で自由に運転しながら、撮影して3D地図を作成することが可能だ。
取得した3次元データは、公共測量作業規定で定められている1/500の精度を保持する。主な用途としては、インフラ維持・管理をはじめ、全周囲映像からベクトルを自動・手動生成、標識や屋外広告物の調査、映像にCGを重ねた景観シミュレーションなど、多岐にわたる利用が想定されている。
GMS3は、地下2m(メートル)までの空洞や地下埋設物を3次元で検出するシステム。探査車のホイルベース間に配置された複数のセンサーを持つ「マルチチャンネルアンテナ」から、電磁波を送受信させながら走るため、地下の3次元マッピングが、時速80km(キロ)の走行でも実現する。
活躍の場は、路面下空洞、埋設管、河川・海岸構造物、橋梁(きょうりょう)床版、空港滑走路などの調査がある。
会場では、地上と地下の測定を一体化させたGMS3-miniの実車を展示。3次元地中レーダーシステムの地下情報とモバイルマッピングシステムの地上情報は、GPS時刻で同期され、一元的なデータ管理が可能。3次元座標で統合された高精度データベースは、位置の特定に優れ、地物間の距離計測などが不要なため、作業効率が飛躍的に向上する。3次元地理情報システムESRI社の「ArcGIS」とも連動しているので、データを蓄積・管理でき、自治体の管理台帳としても活用が見込まれる。
また他に、実写ビデオ画像ドライビングソフトウェア「Real Video Drive player」のデモンストレーションも行われた。Real Video Drive playerは、市販ベースで初の実写ビデオ画像内をドライビングシミュレートするソフトウェア。
実物のハンドルでの操作に対応して映像内の車両が動き、車線変更や右左折もでき、車両の乗り心地や挙動のチューニングをよりリアルに体感できる。1回の撮影映像で異なる軌跡を追従可能で、車両モデル(CarSim)、高精度位置情報(GNSS)との連携も可能だ。操作画面は3つのディスプレイを組み合わせれば全面表示となる。
撮影サービスも展開されており、海外も含めた任意の道路での撮影や動画の加工サービスがあり、納期は国内撮影で1カ月ほどだという。
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