建機の遠隔操作に体感型コックピット、振動や傾きを操作席で再現:建機遠隔操作
ソフトバンクグループでロボット・ソフトウェア事業を行うアスラテックは2018年11月12日、カナモトが開発した建設機械の遠隔操縦人型ロボット「KanaRobo(カナロボ、旧称・DOKA ROBO3)」向けの体感型コックピットコントローラーの開発に協力したことを明らかにした。
カナモトが開発した建設機械の遠隔操縦人型ロボット「KanaRobo」向けに、新たな操縦方法として体感型のコックピットコントローラーが追加された。
建設機械からのフィードバックで、臨場感のある操縦感覚を実現
KanaRoboは、油圧ショベルなど既存の建設機械に搭乗させることで、遠隔地から建設機械を操縦可能にする人型ロボット。これまでKanaRoboの操縦コントローラーには、卓上のプロポ型コントローラーや実際の建設機械のコックピットをベースにした4画面ディスプレイ搭載のコックピット型コントローラーなど、複数のコントローラーを併用していた。
しかし、現場の利用者から、掘削の感覚や衝撃を感じられるコントローラーを求めるニーズが寄せられ、これを受けてKanaRobo用の操作方法として、新たに体感型コックピットコントローラーを開発した。
体感型コックピットコントローラーは、建設機械の傾きや振動がユーザーの座る運転席にフィードバックされ、今までよりも臨場感のある遠隔操縦ができる。建設機械に取り付けた3軸ジャイロセンサーからの信号をコックピットが受け取り、その情報を基に3軸シリンダーで運転席を動かす。建設機械の運転席をリアルに再現する。
KanaRoboの前身となるDOKA ROBO 3は2017年に、カナモト、KGフローテクノ、富士建、アスラテックが共同で開発した人型の遠隔操作ロボット。油圧ショベルなどの建設機械の運転席にロボットを設置し、オペレーターが離れた場所から操作することで、建設機械の遠隔操作が実現する。建機は無改造のまま使用でき、設置に要する時間はおよそ1時間ほどだという。
アスラテックでは、建設機械の遠隔操縦は災害時の危険地域など、人の立ち入りが困難な場所での活躍が期待されているが、通常の工事現場でも、遠隔操縦を通して人員の有効活用や作業効率の向上などを見込むことができるとしている。
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