アラミドFRPロッドの「高強度プラスチック」定着システムを開発、1作業あたり3日短縮
三井住友建設と住友ベークライトは、プレストレストコンクリート(PC)の緊張材として用いるアラミドFRPロッドの定着具として、新たに高強度プラスチックの定着システムを開発した。
三井住友建設と住友ベークライトは共同で、高強度プラスチックを用いたアラミドFRP緊張材の定着システムを開発した。
高強度プラスチック技術を用いた「特殊くさび構造の定着システム」
従来、アラミドFRPロッドの定着には、鋼製スリーブの中に無収縮モルタルを注入する手法が採用されていたが、高強度プラスチック製のくさび型定着具を用いることで、即座の定着が可能になる。これにより、緊張作業における1工程あたりで、3日の工期が短縮されるという。
アラミドFRPロッドは、アラミド繊維を棒状に束ねたもので、厳しい腐食性環境でも全く錆びず、高強度、軽量、柔軟性、非磁性・非電導など、優れたいくつもの特性を有する。近年は、PC鋼材の代替えとなるPC緊張材として、橋梁(きょうりょう)の補修工事などに用いられている。
しかし、一方向性の材料のため、局部的な支圧やせん断に弱く、PC緊張材としてジャッキなどでプレストレスを導入する際には、定着部(ロッド端部)の鋼製スリーブに充填材で固定する事前の加工作業が課題となっていた。
住友ベークライトの熱硬化性樹脂とガラス繊維との複合体である「高強度プラスチック技術」を用いた“特殊くさび構造の定着システム”の共同開発で、即座に定着することが可能となり、加工作業に要する手間と時間が不要となった。また、これまでの定着システムは使い切りで終わってしまっていたが、このシステムは繰り返しで使用が可能なため、環境負荷低減と低コスト化につながる。
三井住友建設では、今回開発した定着システムを橋梁の耐震補強や高耐久橋梁などへの適用を積極的に行い、さらなる施工の急速化と省力化を図っていくという。
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