インタビュー
地上点群データと埋設物モデルを統合したCIM、HoloLensで施工箇所を“可視化”して事故防ぐ:CIM×MR×無電柱化(3/3 ページ)
大成ロテックは、CIM(Construction Information Modeling)と、MR(複合現実)技術を組み合わせ、道路埋設物を現場で可視化する新技術を開発し、和歌山市内の電線共同溝工事に初適用した。この技術により、通常は見ることのできない、地中の構成物を着工前に確認することで、工事中に起きやすい埋設管の破損事故などが防げる。
2018年11月末に羽田空港の工事に初適用、AF品質向上と安全確保を目指す
大成ロテックには他にも開発中の技術として、アスファルト品質システム「T-CIM/Asphalt」がある。大成建設のコンクリート品質管理システム「T-CIM/Concrete」をアスファルトにも範囲を広げた技術で、2018年11月末に羽田空港の高速脱出誘導路の工事に初適用するという。
これまで舗装工事に使うアスファルトは、プラント出荷から舗装完了までの舗設状況ごとのアスファルト合材温度を、人の手でアスファルトに計測器を差し込んで測っていたため、かなりの手間がかかっていた。T-CIM/Asphaltは、計測器に熱電対が付き、1度ダンプに入れてしまえば、現場に着くまで取り出す必要がない。計測したデータは、端末を介して専用クラウド「T-CIMクラウド」にアップされ、PCなどからリアルタイムでモニタリングが可能。クラウドでは、自動で帳票も作成され、出力することもできる。
寺崎氏は「T-CIM/Asphaltにより、アスファルト品質の向上以外にも、ダンプに登って高所で計測する危険性が無くなるため安全性も図れる。初適用する羽田空港の工事では、プラント出荷から現場入場までの温度を試験的に測る。将来的には、初期転圧温度以外の自動化を目指したい」と展望を語った。
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