仮想室内で「歩く」「立つ」「座る」を実現したVR内見サービス、野村不UNで試験運用:VR内見
VR技術を活用したプラットフォームを提供しているナーブは2018年10月29日、「歩く」「立つ」「座る」といった動作を不動産物件のVR空間で体験できる新しいVRシステムを開発したことを明らかにした。2018年11月下旬に野村不動産アーバンネットの店舗で試験的にサービスを開始する。
ナーブは、「歩く」「立つ」「座る」といった動作を手軽に体験できる新しいVRシステムを開発した。「VR内見プレミアムα版」として、2018年11月下旬をめどに、野村不動産アーバンネットの一部店舗で試験的にサービスの提供を開始する。
さまざまな目線(高さ)からのVR内見を実現
これまでのVRによる内見システムは、定点視聴もしくはVR動画を活用して疑似的に歩行を再現するといったタイプが多数を占めていた。ナーブの開発したVR体験は、対象物件の実写画像を介して、リビングからキッチンへの動線や距離を確認したり、しゃがんでキッチンカウンターの高さを見たりできるなど、一つの視点ではなくさまざまな目線(高さ)からのVR内見を可能にする。
新VRシステムでは、閲覧者の動きに合わせて室内画像が映し出される。専用のVR端末「CREWL(クルール)」で閲覧しながら歩行すると、まさにその空間に身を置いているかのような感覚で物件内を移動。
閲覧者が歩いたり、立ったり、座ったりといった動作をとると、空間内の映像が対応してリアルタイムに動くため、これまでにない没入感でよりリアルな室内空間を体感することができるという。
また、ナーブが開発した専用VR端末のクルールは、頭に装着するタイプと違い、手軽に使用が可能で、周囲の様子が認識しやすい。肌に触れる部分も少なく衛生的でもある。
VRデータの作成では、3Dスキャンカメラにより撮影した、室内空間のあらゆる角度からの高精度な3Dデータを多数登録。高精度の3Dデータでも、一般的なスマートフォンやタブレットで遅延なく軽快に動作させることが可能なため、試験店舗では、多くの来場者にリアルな室内体験を提供することが可能だ。
このシステムを活用することで、実物件にわざわざ足を運ぶことなく、店舗の専用端末だけで、モデルルームを内覧した時と同様に、対象物件の室内空間を自由に閲覧することが実現する。
ナーブでは、VR内見プレミアムα版を、不動産流通業が提供する次世代サービスの姿の一つと位置付けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新築営業の8割で利用、積水ハウスが提案する“ヴァーチャル住まいづくり”
積水ハウスは、ハウスメーカーならではのVR技術を活用した新サービスを2018年2月から展開している。同社のVRサービスは、BIM(Building Information Modeling)に近いオリジナルのCADシステムをベースに、一般社員によって制作できるシステムが構築されており、外注がなく社内だけで完結しているという他のVRサービスにはない強みがある。 - パナソニックのVRを使った街づくり支援
パナソニック エコソリューションズ社はVR(バーチャルリアリティー)を街づくりや施設計画に活用した「環境計画支援VR」のサービスを展開している。 - サービス付き高齢者向け住宅の販売センターにVRシステム導入、入居検討者に仮想空間で住まい提案
兵庫県西宮市で建設が予定されている国内最大規模のサービス付き高齢者向け住宅「エレガーノ西宮」の販売センターに、福井コンピュータアーキテクトが開発した高性能VRシステムが導入された。販売センターには、サービス付き高齢者向け住宅では全国初となるVR体験スペースを常設し、入居検討者やその家族にVRを活用して住まい提案の支援を行っていく。 - 東急建設が進めるVR技術を駆使した安全衛生教育と建設業の魅力発信。企画・開発に携わった伊藤誠氏に聞く
東急建設は、VR体験型の安全衛生教育システム「Tc-VOW(ティーシーバウ)」を開発し、建設業における3大労働災害を想定したコンテンツ制作を進めている。現在、サービスを行っている「墜落・転落災害」のVRコンテンツは、同社の協力会社も含め、これまでに作業員延べ150人以上が体験した。Tc-VOWとはどういうものか、建設業にVRを取り入れた意図、次の展開に位置付けるVR/AR技術を活用した建設業の魅力発信など、企画・開発に携わった東急建設 伊藤誠氏に聞いた。