東北大のドローン土石流予測や大成建設の床仕上げロボが受賞、ロボット大賞:ロボット大賞
国土交通省は2018年10月12日、第8回「ロボット大賞」の受賞技術を発表した。国土交通大臣賞には、東北大学 フィールドロボティクス研究室らの「ドローンを用いた火山噴火時の土石流予測システム」が選ばれた。
国土交通省は、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、日本機械工業連合会と共催している「ロボット大賞」で、各賞の受賞ロボットを決定した。
ロボット大賞は、ロボット技術の発展やロボット活用の拡大を促すため、特に優れたロボットや部品・ソフトウェア、それらの先進的な活用方法や研究開発、人材育成の取り組みなどを表彰する制度。
ドローンで火山噴火時の土石流を予測するシステムが国土交通大臣賞に選出
8回目となる今回は、応募があった全161件の中から、国土交通大臣賞に「ドローンを用いた火山噴火時の土石流予測システム」が選出された。開発者は、東北大学 フィールドロボティクス研究室、国際航業、イームズラボ、学校法人工学院大学 システムインテグレーション研究室。
同システムは、ドローンと各種センシング技術を活用して、火山噴火時の立入制限区域内における地形情報、降灰厚、灰の種類、雨量に関する情報を遠隔から取得する。これらの取得データを用いて、現実に即した土石流の発生を予測するシミュレーションシステム。
審査では、これまで困難だった噴火直後の立入制限区域内において観測を行う技術を確立したことで、現状の土石流シミュレーションの精度を大幅に向上させる実用性に加え、個々の観測技術を一つのパッケージ技術として完結させている独創性も高く評された。火山だけでなく、大雨や火災など、他の災害への展開も期待できるとした。
他に建設分野での受賞では、優秀賞(インフラ・災害対応・建設分野)で、大成建設と筑波大学の「コンクリート床仕上げロボット T-iROBO Slab Finisher」が受賞。建設現場で、床に打ち込んだコンクリートを平滑に仕上げる作業を省力化するロボットで、こてが回転しながら床に接した状態で床を移動し、人がこてを使用して仕上げるのと同等の効果が得られる。
選定理由では、バッテリー駆動で軽量化と静穏性を確保し、現場への持ち込みや夜間利用に配慮している点の他、立位姿勢での無線コントローラーによる操作性、事前走行範囲を指定することで自律運転が可能になるなど、建設現場のユーザーの使いやすさに徹した実用性を備えていることが高評価となった。
また、優秀賞(ビジネス・社会実装部門)では、清水建設のBIM(Building Information Modeling)を用いた情報化施工「シミズ スマート サイト」が選ばれた。最先端技術を搭載した自律型ロボットから構成される次世代型の建築生産システムで、溶接や内装仕上げ、資材運搬を行う自律型のロボットがBIM情報と連動し、人とロボットが協働した建設作業を実現する。現場で導入を前提とした開発が行われており、工事への適用も進んできていることに加え、他の作業への応用や他社への展開など、今後への期待も含めた部分が審査ポイントととなった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ビルメンロボットの普及組織創立、初代会長企業にアクティオ
ロボットメーカーなど14社で構成された日本ビルメンロボット協議会が2018年7月5日、発足した。初代会長企業にはアクティオが就き、今後はビルメンテナンス分野でロボットの普及と導入の拡大を図っていく。 - JR東日本が鉄道施設のメンテナンスで、ドローンやロボットの実証実験を開始
JR東日本は、鉄道施設のメンテナンスにロボットやドローンを導入して、業務効率化などの検証を始める。母体となるのは、120社を超える企業・団体が参画している「モビリティ変革コンソーシアム」。コンソーシアム内に設置された3つのワーキンググループで、ロボットの活用やスマートシティーの実現、駅からのラストワンマイルを利便化するDoor to Doorの推進にそれぞれ取り組む。 - 耐火被覆吹付ロボット、ホテル建設の現場で実証実験
大和ハウス工業は、建設現場の中でも人手不足が深刻とされる耐火被膜工事の省力化を目的に、「耐火被覆吹付ロボット」を開発した。ロボット導入により、これまで3人の職人が必要だった現場は、2人で済むようになり、全体の工期も約2割の時間短縮をもたらす。 - 積水ハウスが開発した「会話する施工ロボット」と「アシストスーツ」の実機デモ
積水ハウスは、住宅施工現場での作業負荷軽減を目的に、「天井石こうボード施工ロボット」をテムザックと、「上向き作業用アシストスーツ」をダイドーと、それぞれ共同開発した。ロボットは、ゼネコンなどで導入されている産業用ロボットと異なり、AIを搭載し、互いに通信でコミュニケーションを取りながら施工する珍しいタイプ。アシストスーツは、作業者の腕をサポートし、長時間の辛い上向き作業を楽にする。