作業時間を“8割”削減するトンネル覆工コンクリートの体積・厚さ判定ソフト、β版提供開始
佐藤工業とユニアデックス、日本ユニシス・エクセリューションズは2018年10月15日、レーザースキャナーを活用してトンネルの出来形管理を行うソフトウェア「出来形マイスターβ版」をリリースした。
佐藤工業とユニアデックス、日本ユニシス・エクセリューションズの3社は共同開発した山岳トンネル向けの3D出来形管理システム「出来形マイスターβ版」を公開した。
点群データ比較で覆工コンクリートの厚さ検査の自動化を実現
出来形マイスターは、レーザースキャナーで計測した点群データを読み込み、トンネル内で供用後に一番内側となる「覆工(ふっこう)コンクリート」の体積・厚さを評価するソフト。
これまで、トンネルの掘削壁面は、作業員が高所作業車に乗車して、テープや巻き尺などにより計測していたため、高所で危険性を伴い、労力もかかかる作業だった。これを簡略化する光波測定器や3Dレーザースキャナーによる計測手法はあったが、取得データにバラつきが出たり、時間経過による変位状態が確認できないなどの課題点がみられた。
出来形マイスターでは、掘削壁面の測定だけでなく、国交省が出来形管理の試行要領で示している覆工コンクリートの厚さ検査の自動化や補強のためのコンクリート体積自動計算をトンネルのブロックごとに積算ができる。これにより、トンネル壁面内へ正確なコンクリート量を供給することが実現する。さらに検査作業員の負担も軽減され、安全で正確なトンネルの施行管理・検査業務につながる。
出来形マイスターの計測手順では、トンネルの設計断面、中心線形、レーザー計測した点群を現場座標(XYZ座標)に変換した覆工前後の点群データを用意して、ソフト上に取り込む。資機材や風管などの不要な点群データは、自動または領域を選択して手動で削除することができる。その後、メッシュサイズを指定して点群データをメッシュ化。厚み検査は、ボタン一つで打設前検査(当たり判定)と打設後検査(覆工厚判定)の結果がヒートマップによって色別に可視化される。
ソフトの検証では、打設前に吹き付けコンクリート面を計測し、設計断面を重ね合わせることで、打設する前の覆工厚さを判定した。打設後には、覆工コンクリート面を計測し、吹き付けコンクリート断面を重ね合わせて厚みを測定。計測器は、対象物にレーザー照射することで、3次元座標を取得できるTOPCON社製のレーザースキャナーを採用した。
検証結果では実測値とCAD計測値の誤差は±5mm程度だった。従来方法との比較では、1打設長(10.5m)あたり、これまで検査作業には、写真整理+帳票作成で60分と計測+写真撮影で90分の計150分を要していたが、出来形マイスターではデータ処理に20分とレーザー計測10分の計30分で済み、作業時間が約8割削減された。
β版は日本ユニシス・エクセリューションズのHPで提供。無料の利用期間は30日間で、その後も利用する場合は年間45万円の使用料がかかる。
次のバージョンアップでは、帳票の出力機能を追加する予定。
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