土木分野の“革新的技術”導入プロジェクトが本格始動、建設×ICTで33件を選定:i-Construction
国土交通省が建設現場の生産性を飛躍的に向上させるために検討していた革新的技術の導入・活用に関するプロジェクトが本格始動する。2018年7月から募集していた技術公募で、実際に国交省直轄などの工事で試行する計33件の技術を決定した。
国土交通省では、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上させるi-Constructionと、2018年6月15日に閣議決定した統合イノベーション戦略を受け、「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」について、同年7〜8月に公募を行った。
建設業×ICT企業の連携で、生産性向上と品質管理の高度化
対象は、国の発注工事を受注している建設業者と、建設業以外のIoT・AI・ロボットなどを開発しているIT企業・研究機関らで構成されたコンソーシアム。これまでのように建設業単独ではなく、実際にICT技術の開発力を有する企業と共同することで実現性の高い技術開発を求めていた。
公募した技術は、公共の土木工事で、施工データなどのリアルタイムでの取得・解析を行い、生産性向上につながる2つの技術。「技術I」は、施工データを活用して労働生産性の向上を図る技術で、橋梁(きょうりょう)、ダム、トンネルといったコンクリート工や土工において、施工自動化やサプライチェーンマネジメント、安全技術、プレキャスト製品の利用拡大などを想定。応募32件のうち19件を選定した。「技術II」は、データを利用して品質管理の高度化を図る現行手法の代替や書類削減などにつながる技術で、22件の中から14件を選んだ。
選定された技術は今後、各地方整備局などと委託契約を締結し、2018年度内に現場で試行する。取得するデータについては、機材・資材・作業員別に、時間・位置・作業量をデジタルデータ化し、省人化や効率化につなげ、クラウド環境で管理し、工事発注者やコンソーシアムの構成員で共有する。
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