ビルのセキュリティシステムを統合・管理するサービス提供開始、ジョンソンコントロールズ:BAS(2/3 ページ)
ジョンソンコントロールズは、2016年に統合した防火・防災、セキュリティシステムのグローバルプロバイダー「タイコ」のセキュリティ事業を、ビルオートメーション(BAS)と組み合わせた形で、サービス提供を開始した。
ビル全体の状況を映すモニターで、監視センターから迅速に指示
フー氏は、状況認識プラットフォームが必要な背景として、「そもそも施設のセキュリティ面は軽視されてきたが、それは非常に問題だ。また、施設によって、セキュリティ監視体制のニーズは異なり、昔は単純なシステムだったが最近の建築物は複雑化し、今は監視カメラ、映像解析など、さまざまなメーカーのシステムが常時動いている。万一のときにはトラブル発生時にセンサーや監視カメラなど、複数のセキュリティシステムを同時にオペレーションすることで、より迅速かつ効果的に非常事態へ対応ができる。そのためには、複数のサブシステムを統合した集中管理の体制が求められる」と説明。
また、「情報量の爆発的増加で、ビルシステムには流通性が無く、個別に独立しているのが現状だ。ビッグデータの時代にはデータを統合して新たな価値を見いだせるかが重要となってくる。さらに緊急時には、リスクと立ち向かい、何がどこで起きているかを把握しなければならない」とプラットフォームの重要性を説いた。
同社の提案する状況認識(Situational Awareness)プラットフォーム監視センターは、1画面に複数の監視情報を表示した計3〜4つのスクリーンで、ビル全体の状況を映し出し、指令+制御+中枢を担う。従来の様に、監視カメラ、映像解析、火災検知、入退室管理などの複数に分かれたモニターを見たり、制御するためにシステムごとのルールブックをチェックする手間はなくなった。
プラットフォームでは、既に350以上のサブシステムを統合。ブランドや業種の隔たりを超越して、一般的なセキュリティブランドの80%以上と統合が可能だという。搭載しているビジネスロジックエンジンでは、対応力の強化を図っている。一例として、火災発生時にはまずセンサーで警報発報し、リスクプロフィルに基づく自動優先順位付け、現場に近いカメラ映像で確認した後、セキュリティ対応チームに通知。標準作業手順に沿ったトラブル対応と復旧(インシデント管理)、全ての対応へのシステム監査を作動させ、最後にインシデントレポート実績の管理と今後のトレーニングのための保存までの一連のワークフローを効率的に行える。
ターゲットとなる市場では、都市、基幹インフラ、複合施設、商業用ビルの異なるクライアントレベルが存在する。これにはエンタープライズ版と、ベーシック版のデータ量と機能が異なる2種類を用意してそれぞれに提供する。エンタープライズ版は、緊急サービスの手配と派遣指示および統合制御ソリューションで、ベーシック版は安全かつ円滑な運用を維持するためのインテリジェントな管理システム。
状況認識プラットフォームの利点としては、ユーザーフレンドリーなユーザーインタフェース(UI)で誰もが簡単に操作できるためオペレーター育成コストの低減につながること、地上・海上・空のあらゆる脅威に対処できることなどがある。
フー氏は、実際の導入事例で、クライアントからの要望に、状況認識プラットフォームがどの様に課題を解決したかを示した。最初の事例では、米朝首脳会談の場となったシンガポールの「セントサーリゾート」の事例を紹介。島全体に設置された数千台の監視カメラやセンサー、10個のサブシステムを統合した以外にも、3D地図作成、GPS、UHF通信、車両管理などの独自システムも開発した。
2つ目の事例では、中国の大手ICT企業で、世界中に点在する拠点を一元的に管理できるシステムを構築。監視カメラ、映像解析、入退室管理、侵入防止、火災報知、IoT、GISなど、15種以上のサブシステムをまとめ、第1段階として中国の2大メインキャンパスと南アフリカの3つの異なる拠点の施設機能を集約した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.