新日鐵の溶接軽量H形鋼「SMart BEAM」、コンビニ小屋梁への導入200店舗を突破
新日鐵住金の溶接軽量H形鋼「SMart BEAM(スマートビーム)」が、大手コンビニエンスストアの天井裏・小屋梁(ばり)に採用された実績が200店舗を突破した。スマートビームは、従来のロールH形鋼に比べ、設計強度を担保したうえで大幅な鋼材重量を削減する。
新日鐵住金が製造販売している溶接軽量H形鋼「SMart BEAM(スマートビーム)」は、大和リースが手掛けているロードサイドのコンビニ天井裏・小屋梁に2017年10月に初採用されてから、累計店舗数が200店舗を越えた。
豊富なサイズ・商品バリュエーションで施工現場における負荷軽減
スマートビームは、1973年10月に鹿島製作所で生産を開始してから、2018年で45周年を迎える。この間、国内の溶接軽量H形鋼市場で圧倒的なシェアを獲得し、鉄骨プレハブ住宅を中心に幅広い分野で活用されている。
スマートビームは、熱延コイルから高周波溶接によって連続的に製造される「溶接軽量H形鋼」。スリットした2種類の熱延コイルを溶接して製造するため、コイルの板厚・幅の組み合わせにより、多様なサイズ設計が可能で、100種類以上をのサイズをラインアップしている。
左右非対称の特殊な形状や用途に合わせたオーダーメイドサイズの製造にも対応する。サイズフリーのため、ロールH形鋼と同じ断面性能(断面二次モーメント)でありながら、重量は2〜3割を軽量化している。そのため鋼材重量が大幅に削減でき、経済的な設計につながる。重機を使用せず人手で運搬が可能となる場合や搬入スペースが限られる既設建屋内の補強、大型クレーンが使用できない狭小地での施工現場にも適用が可能だ。
豊富なサイズ数に加え、JIS規格であるSWH400をベースに、新日鉄住金販売規格のNSSWH490(490N級鋼)・NS-SWH620(620N級鋼)、塗装工程の省略が期待できる高耐食性亜鉛めっき鋼板のスーパーダイマ(SD)を母材に用いたSDスマートビームも製造している。
板厚は2.3mm(ミリ)まで薄くすることができ、ロールH形鋼との比較で、JIS公差の約1/2までと寸法精度も高い。このため、自動加工ラインでのシャー切断やパンチ穴加工にも適し、加工時間の短縮化をもたらす。
住宅以外の用途では、アルミ材の代替として建物外装材のルーバー材として採用実績がある。アルミ材に比べ断面積あたりの強度、剛性が高いため、階の途中で支持することなく、ロングスパンのルーバーが実現する。
新日鐵住金では現在、スマートビームを扱う加工会社と協業し、切断・穴あけ・塗装などを施した加工品の販売体制の構築を検討しているという。
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