建設技術者の有効求人倍率が医師らを抜き最も高い倍率に、人材不足の深刻化強まる
ヒューマンタッチ総研は国内の建設業の人材市場動向をまとめた9月分のマンスリーレポートをリリースした。「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」を抜き、専門的・技術的職業の中で最も高い倍率となった。
人材紹介業を行うヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は2018年9月27日、国内の建設業界における人材市場動向9月分の月次レポートを公表した。
建設技術者の有効求人倍率が、医師らを抜き初めて最高値に
レポートによると、公共職業安定所(ハローワーク)における「建築・土木・測量技術者」(常用・除くパート)の有効求人倍率は、前年比0.45ポイント上昇の6.06倍となり、専門的・技術的職業の中では、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」を抜き最も高い倍率となった。現在の職業分類になった2012年3月以降で初のことだという。
専門的・技術的職業に分類される12の職業の有効求人倍率の推移をみると、長年にわたり「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」が最も高い状況が続いていた。しかし、「建築・土木・測量技術者」が大きく上昇を続けた結果、2018年7月にその倍率が逆転した。「建築・設計・測量技術者」の人材不足は深刻化しており、建設業界、建設業各社では、人材確保に向けたさまざまな対策を早急に打つことが重要な課題となると見ている。
雇用関連のデータをみると、2018年7月時点の建設業就業者数は508万人で、前年同月比で100.2%となり、2018年1月から7カ月連続でプラス。ハローワークの新規求人数は、7万432人で、同比106.4%と、24カ月連続で前年同月を上回っており、建設業界における人材需要は活発な状況が継続していることが分かる。
建築・土木・測量技術者(パート除く)の有効求人倍率は、前年同月比で0.52ポイント上昇して、6.06倍。38カ月連続で前年同月を上回り、厳しい人手不足の状況は長期化している。
有効求人数は前年同月比104.5%と前年同月を上回り、建設技術者への人材需要は高水準が続いている。一方、有効求職者数は前年同月比95.5%となり、若干減少傾向にある。
充足率(就職件数/新規求人数×100)は、同比で0.6ポイント低下し、4.5%となり、公共職業安定所(ハローワーク)で建設技術者を採用するのは非常に困難な状況にある。
また、建設・採掘といった建設技能工(パート除く)の有効求人倍率は前年同月比0.98ポイント上昇の5.09倍。39カ月連続で、前年同月を上回っており、建設技能工についても厳しい人手不足の状況に長期化していることが判明した。
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