位置情報×動画の労務管理にリスバンド生体センサー「MEDiTAG」が連携、凸版印刷が提案する建設現場の体調管理:IoT体調管理(2/2 ページ)
凸版印刷は、建設や製造現場の労務状況を分析できる「ID-Watchy(アイディーウォッチー)」に、リストバンドタイプの生体センサーを連携させた「ID-Watchy Bio(アイディーウォッチーバイオ)」を開発した。これまでのID-Watchyの位置情報と映像に加え、生体データを取得することで、現場の健康管理も行えるようになる。ID-Watchy Bioは2018年内をめどに製品化を目指す。
大和ハウス工業での実証実験では建材トラックの動態を可視化
受信機のBLEセンサーはPinmicro社製で、小型のものから据え置き型のケーブルつタイプなど5種類をラインアップ。最大で40mの範囲をカバーするため、食品工場の生産ラインなど限られた範囲で使う場合は、ノイズを拾わないようにするため、あえてデータを取得する範囲を狭めることもあるという。
凸版印刷の担当者は、「ホシデンにも、バイタルデータを管理するシステムはあるが、人が転んだ時に数値だけでは“原因”が分からない。IPカメラによる映像の履歴があれば、体調不良によるものか、アクシデントが発生したのかがすぐに判明する。また、カードだけでは人の確実な識別ができず、セキュリティの高いエリアでも、カメラがあれば人物の成り済ましを防ぐこともできる」。
IPカメラについては、「農林水産省の栽培管理効率化を目標にしたプロジェクトを進めるトマト農場では、魚眼レンズで縦に細長いビニールハウス内全体を撮影。50mもある長さの畝(うね)と1m以下の幅が短い通路を撮影するには、駅ホームなどに使われえる“コリドー”カメラをそれぞれ使用した。カメラはレンズを変えることで、多様なニーズに応えられる」とした。
また、「システム上では、アラートを設定することも可能で、モノに取り付ければあるはずのモノがエリアから外れた時に通知。禁止エリアでは、侵入者に対して警告するなどの活用も見込まれる」と幅広い用途を示した。
荷待ち時間解決に向けたID-Watchyの実証実験
ID-Watchyは、大和ハウス工業奈良工場で実証実験が行われた。同工場では、工場と建設現場間の資材運搬トラックが繁忙期で1日に200〜250台運行している。そのため、工場内でトラック待機場所で渋滞が発生し、駐車時間の改善が課題となっていた。
課題解決のために、1.待機場所・積載場所での滞留車両数、トラック毎の待機、積載作業時間の把握、2.積載場所で資材積載状況を映像で確認、3.工場出荷時の正確な時間把握――の3点の現状を定量的に把握して可視化するシステムを模索していた。これを受け、2017年8〜9月、2018年2〜3月の2回にわたり、ID-Watchyを導入して実証実験を実施した。
実証実験では、ビーコン受信機を「正門出入口」「待機場所」「積載場所」に、IPカメラを「積載場所」「出口」に設置した。出入口受信機の検知範囲は半径約5mとして、待機場所/積載場所は半径約35mにそれぞれ設定。約100台のトラックにはビーコンカードを配布し、常時ダッシュボードに置いてもらった。時間毎での累計トラック数、時間毎での駐車時間(累計)、待機・積載場所での駐車時間、個別トラックの動態把握などをグラフで表示した。
結果として、工場内でのトラック動態状況の定量的モニタリングが実現することが実証された。積載状況の映像を活用することで、物流の品質向上につながる可能性も見いだされた。同工場では、2018年度内の本格導入を予定している。
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