空気圧式の“人工筋肉”を搭載したマッスルスーツ3タイプ、鉄筋工など前屈みの作業をサポート:アシストスーツ(2/2 ページ)
PALTEKは、イノフィスが開発した空気圧式アシストスーツ「マッスルスーツ」シリーズに、導入しやすい低価格化・軽量化を図った「Edge」モデルが新たに加わり、販売を開始した。マッスルスーツは、これまでに3400台以上が導入されており、今後引き合いの多い建設業界にも本格的にPRしていく。
前屈みの状態で連続して長時間行う作業で効果を発揮
新開発のEdgeは、性能はスタンダードと変わらず、重量を5.0kgから4.3kgに軽量化した。腿フレームの可動範囲も内外転できるようにしたことで、動きやすくなり、コンパクトに収容もできるようになった。
Powerと、マッスルスーツは防水機能が標準で装備。マッスルスーツ Edgeはオプションで対応し、水場や屋外での作業にも適応する。サイズは全モデル共通で、S-Mサイズ(150〜165cm)とM-Lサイズ(160〜185cm)の2種類が用意されている。
価格はPowerが本体とコンプレッサーが標準装備で90万円。スタンダードのマッスルスーツはタイトフィットが70万円、ソフトフィットが80万円。廉価版のEdgeは49万8000円(いずれも税別)。
販売展開しているPALTEK SAソリューション ビジネスユニット・佐藤正英氏は、他のロボットスーツとの比較で、「最大の違いは空気圧式なこと。バッテリーによる駆動時間を心配しなくて良いし、ガス式では使用が制限されるプラントや工場などの可燃性のある防爆エリアでの建設工事でも、問題なく使うことができる。電気系統がないため、意図しない挙動も起きない」。
マッスルーツの用途展開については、「重いものをしゃがんで持つことにも役立つが、例えば鉄筋工や宿泊施設のベットメイキングなど、前屈みの状態で連続して長時間行う作業で効果を発揮する。マッスルスーツは、行政の導入支援などがあるため、これまでは介護の現場が導入先として多くを占めていたが、腰部にかかる負担軽減を求める声は依然として多いので、建築・土木、製造などの分野にも導入を広げていきたい」と語った。
福島県では、「介護支援ロボット導入モデル事業」を実施し、介護支援ロボット(アシストスーツ)を使用し、介護従事者の離職理由の一つである「腰痛」をどれだけ軽減可能か検証を行っている。2017年には、6〜10月の4カ月間、16の高齢者介護施設でロボットを無償貸与し、使用者へのヒアリングを行った。対象機種は、マッスルスーツ スタンダードタイプと、CYBERDYNE社のHAL介護支援用腰タイプ02モデル。
マッスルスーツに関するヒアリング結果では、延べ85人が使用し、装着は66%が「簡単だった」と回答。装着に要する時間は、「1〜3分」が48%で最多。負担軽減効果では、移乗介助(車椅子から椅子へ)で65%、移乗介助(車椅子⇔ベッド)で68%が効果を実感した。
意見としては、「装着が簡単で、今後、介護施設での使用が当たり前になるだろうから必要」というものや「習慣化できれば、疼痛緩和、腰痛予防には効果的と考える」というものがあった。改良点としては、「小型化・軽量化」「防水化」が挙がった。
福島県では、介護施設へロボットを導入する経費の3分の2以内を補助しており、マッスルスーツスタンダードタイプは17施設で33台導入されている。
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