戸建て住宅の屋根上検査にドローン導入、東急リバブル
東急リバブルが、いち早く中古一戸建住宅の屋根上検査にドローンを導入する。「リバブルあんしん仲介保証」に追加されるもので、従来困難だった雨漏りの可能性がある屋根上の詳細な検査を実現、併せて保証対象も拡充した。
東急リバブルは2018年9月5日、全国の売買仲介店舗で展開している「リバブルあんしん仲介保証(建物保証)」に、ドローンを活用したデジタル技術による一戸建住宅の屋根上検査を開始すると発表した。
屋根上の状況をドローンで空撮し、建築士が画像診断
「リバブルあんしん仲介保証」は、2012年より業界で先んじて提供開始した独自の建物検査・保証制度で、引き渡し後の雨漏りやシロアリなどの補修費用を最長2年間・最大500万円まで担保する。これまで内容の拡充を重ねるとともに、合計で4万件を越える実績を蓄積しており、このうち約3割が戸建住宅となっている。
同社の検査実績によると、中古一戸建て住宅の1〜2割程度に雨漏りの可能性があるものの、従来の一般的な建物検査では、屋根上にまで登っての検査は大掛かりになることから、目視による検査まで実施されることはほとんどなかった。そこで、より屋根上の詳細な情報を把握するため、ドローンを活用して屋根上のデジタル画像を撮影し、建築士による画像診断を今回開始する。
ドローン検査は、「リバブルあんしん仲介保証」検査員(建築士)による通常検査で雨漏りの可能性が指摘され、屋根上の詳細な検査が必要な際に無償で行う。3階建ての屋根上や急勾配で複雑な形状の撮影も対応可能にした。この検査により、屋根の痛みなどからの雨漏りではないと判定されると保証対象に加わる。従来に比べ、売主にとっても保証対象の範囲が拡大する点でメリットが生まれる。検査結果をもとに、同社では売主に対する適切なアドバイスと、買主には一層詳細な物件情報を提供していく。対象地域は、東京23区と横浜・川崎エリアから開始し、順次拡大する予定だ。
ドローンの運用は、パイロットの派遣業務を展開するDRONE PILOT AGENCYに業務委託し、無人航空機操縦技能証明書を所持する有資格者にのみ操縦させることで、安全性を確保する。
近年、大規模建物ではドローンによる検査が展開されることもあるが、個人住宅ではいまだ珍しい取り組みとなる。これにより、同社では一戸建住宅の検査のさらなる向上を図るとともに、物件情報の透明化や安全な取引の推進、中古住宅流通の活性化につなげていきたいとしている。
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