インフラ構造物の奥行き方向を含む微小変位を1台でモニタリングする高精度カメラ(2/2 ページ)
共和電業は、遠隔かつ非接触で、大型インフラ構造物の長期連続モニタリングを可能にする高精度カメラを開発した。新型カメラは、観測場所を選ばず、1台で奥行き方向の“変位測定”もできるため、全国に多数あるとされる老朽化した橋梁(きょうりょう)や道路、鉄塔の維持・管理において、業務効率化や省人化を図ることができる。
4者が共同で取り組むNEDOのインフラ維持管理・更新プロジェクト
開発の背景には、国内の多くの橋梁や道路、鉄塔といった社会インフラは、建設から既に50年以上が経過し、維持管理・更新のため、人材不足やコスト増大の克服が社会課題とされている。そこで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2014〜2018年度でインフラ維持管理・更新などの社会課題に対応するシステム開発プロジェクトを進めている。
プロジェクトでは、共和電業、福井大学、ジェイアール西日本コンサルタンツ、4Dセンサーで構成する研究チームが、カメラ画像を用いた高精度のインフラモニタリング技術の開発に取り組んできた。
従来、インフラ構造物の微小変位測定は、人が直接現場に測定機器を取り付けて行っていたため、足場設置などのコスト負担が大きい他、人の手が届く場所でなければ機器が設置できないなどがネックとなっていた。
研究チームでは、遠隔から非接触のモニタリングを可能にする高精度なカメラ画像による解析技術を検証。この成果をもとに、共和電業は、「サンプリングモアレ法」を用いた高精度なカメラ画像で、各種構造物の奥行き方向を含む微小変位を1台で多点同時に高速測定するサンプリングモアレカメラ「DSMC-100A」を開発した。
センサーによる測定方法と比較して、測定機器の取り付け・配線作業や足場の設置・撤去といった数日かかっていた測定以外の作業時間の解消、通行規制の不要、河川の橋脚など近くに機器を設置できない場所での遠望からの測定といったさまざまなメリットがもたらされる。インフラの維持管理・更新の高度化・効率化を図ることができ、人材・財源不足の解決への貢献にも期待できる。
共和電業はカメラの販売を行うとともに、グループ会社でサンプリングモアレカメラを使った受託計測事業も展開していく。
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