ヘルメットにセンサーを取り付けるだけの体調管理システム、2019年春に現場へ導入:熱中症対策(2/2 ページ)
戸田建設は村田製作所と共同で、IoTを活用した建設現場の作業者の生体データをヘルメットに取り付けたセンサーで取得する「作業者安全モニタリングシステム」を開発した。センサーデバイスは、作業用ヘルメットに装着するだけで、生体・環境情報を取得することができる。このシステムにより、健康状態を“見える化”することで、現場監督者が適切な管理を行い、作業者の安全確保が確実に行われる労働環境が実現する。
大学屋内や実際の施工現場で実証実験
作業者の生体情報に変化があった場合は、すぐにアラートを発信。受信側では、PCまたは事前に登録した携帯電話などへのメール配信の設定ができる。PCでは、アラート情報確認画面で、異常の発生時刻・作業者氏名・異常内容を確認。その情報を基に、作業者に適宜休憩を取らせるなどの対応が可能となる。
また、アラート情報確認画面の通常時は、気象情報と建設現場各所での温湿度データを表示する。異常があった場合には「警報発令中」の文字とともに、詳細な情報を知らせる。
両社は2016年6月より、共同開発に着手。機器の開発とシステム構築を村田製作所、施工中の建設現場での実証実験を戸田建設が担当した。2017年4月からは、豊橋技術科学大学・都築和代教授が参加。大学屋内実験と施工中の建設現場での実証結果を用いて検証し、体調変化の予測精度を向上させる研究を進めている。
実証実験に使用した現場は、「富山村田製作所新製造棟新築工事」(工期:2017年1〜3月)で作業員延べ17人、「虎の門病院整備事業」(工期:2017年9〜2018年1月)で作業員延べ40人を対象に検証した。
システムは建設現場だけではなく、プラントや工場、鉄道保全、電気工事など、作業者がヘルメットを装着する幅広い業種の現場での用途展開も見込まれている。
戸田建設では、さらなる機能を附帯させるため共同研究を持続させ、2019年春ごろに本格的な量産を開始し、施工中の建設現場への導入を目指している。
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