生体・位置・作業環境の情報を一元的に取得・分析するIoTツール、大成建設:現場管理(2/2 ページ)
大成建設は、インフォキューブLAFLAの協力のもと、IoTを活用した従業員の作業状況を“見える化”するツールを開発した。既に同社の土木作業所2カ所で実証実験を行ったという。
ネットワークやクラウドはNTTドコモと検証済み
屋内外を移動する作業員の位置データは、開発中の汎用型通信端末(ヘルメット着脱式など)や作業員の持つスマートフォンのGPS機能で“屋外”の位置を把握するとともに、“屋内”は電波ビーコンで認識する。取得した所在や作業実績、作業時間のデータは、PCやスマート端末でリアルタイムに確認することができる。画面は2Dおよび3Dのマルチビュー表示に対応し、スムーズな拡大・縮小、視点移動に加え、施設内の各階状況を一画面にまとめた立体表示も可能だという。
作業環境データのセンシングは、簡易気象センサー(温湿度、雨量、光量)や熱中症指標計など、目的に応じてセンサーを選択。温湿度、雨量、光量、風向・風速、特殊ガス・酸素濃度などの情報を記録して、作業環境をリアルタイムで捉え、異常を検知した際はアラームを発令して現場に知らせる。
また、従業員の生体データや位置データに異常が生じた場合には、本人および管理者へメールで通知。作業エリアに設置したカメラの画像で、現地の変化を目視で確認することもできる。
作業環境データの取得・記録・分析に対するネットワークやクラウドの活用については、NTTドコモと検証を行い、環境センサーのオンライン化、ネットワーク・クラウドのセキュリティなどについては既に確認済みだという。
今後は、生産施設において、リアルタイムに従業員の作業状況を把握するためのツールとして、作業の効率化や安全性向上の実現に向け、提供していき、コンサルティング業務への活用も行う。加えて、位置データを取得する低コストな着脱型小型・軽量の汎用通信端末の開発をはじめ、各データの高精度化を図るため、小型カメラや各種センサーによるセンシングデータのラインアップ拡充にも取り組む。
大成建設では、建設業においてもIoT化による業務改善のニーズは高いことを理由に、建設現場や土木現場への導入も将来的には見込んでいる。
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