就業者・雇用者は5カ月連続増だが人手不足は変わらず 建設業の人材市場動向7月
人材紹介事業のヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は2018年7月26日、国内における建設業の人材市場動向をまとめた7月分のマンスリーレポートを公表した。2018年5月の雇用関連データでは、建設業の就業者数は494万人で、雇用者数は403万人。ともに5カ月連続で前年同月を上回った。
ヒューマンタッチ総研は建設業界人材動向レポートの7月分を公表した。建設業の就業者、雇用者は伸び続けているものの、依然として、建設技術職、建設技能工ともに厳しい人手不足の状況が長期化している実態がわかった。
2018年度の建設投資見通しは57兆1700億円、対前年で2.1%増
建設業界全体のトピックスとしては、国土交通省が2018年6月29日に明らかにした「2018年度建設投資見通し」から、建設投資の推移をまとめると、建設投資額は、リーマンショックや公共事業抑制の動きを背景に、2009年度に大幅に減少。その後、2011年度以降は東日本大震災の復興需要、景気回復による設備投資の増加や東京オリンピック関連の建設需要などの好材料で増加基調が続いている。
2018年度は、2017年度比で2.1%の伸び、57兆1700億円になると予測されており、伸び率は2016年度の5.1%、2017年度の4.6%には及ばないものの、堅調に推移することが見込まれる。
建設投資額の推移を見ると、2018年度の政府建築投資は2兆7700億円、前年とほぼ同じ。政府土木投資は20兆2900億円、前年度比で0.1%増となり、政府の建築・土木はともに伸び悩んだ形となった。一方で、民間建築投資は28兆3400億円で同2.6%増、民間土木投資は5兆7700億円で同7.4%増と堅調に伸長し、民間の建設投資が市場全体をけん引していることが分かった。
雇用関連の月次データ(2018年5月分)では、建設業の就業者数は494万人で、前年同月比0.2%の微増。5カ月連続で前年同月を上回った。
公共職業安定所(ハローワーク)の新規求人数は7万292人で、同比8.3%増と、22カ月連続で前年同月を上回り、引き続き建設業界における人材需要は活発な状況にあることが分かる。
建設技術者の雇用動向では、ハローワークの建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率は、前年同月比0.46ポイント上昇して5.35倍。36カ月連続で前年同月を上回っており、厳しい人手不足の状況は3年間にわたり長期化している。有効求人倍率の先行指標となる新規求人倍率をみると、前年同月比で0.16ポイント上昇して7.05倍で、今後もしばらくは厳しい人手不足の状況が継続する可能性が高いとみられる。
有効求人数は前年同月比104.7%と30カ月連続で前年同月増となり、建設技術者への人材需要は高水準が続く。有効求職者数は、前年同月比95.7%となり減少傾向となっているが、新規求職者数は同101.5%と増加に転じた。
充足率(就職件数/新規求人数×100)は、前年同月比で1.4ポイント向上して5.3%となり、やや改善された。
建設技能工(パート除く)の有効求人倍率は、前年同月比0.90ポイント上昇の4.63倍。37カ月連続で前年同月を上回り、建設技能工についても厳しい人手不足の状況は長期に及んでいる実情が浮き彫りになった。
有効求人倍率の先行指標となる新規求人倍率は、前年同月比1.17ポイント上昇して、5.86倍となり、今後、人手不足の状況はさらに厳しくなると予測される。
有効求人数は前年同月比107.5%と、29カ月連続で前年同月を超え、建設技能工への需要は高水準が継続。一方、有効求職者数は前年同月比86.5%となり、長期的には減少傾向となっている。
充足率は8.7%で前年同月より2.2ポイント低下しており、公共職業安定所(ハローワーク)で建設技能工を採用するのは非常に困難な状況が続いていることが判明した。
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