米YouTube本社に導入されたデジタルサイネージ管理システム、「顔認識」で次の一手:Instagramの投稿画像を配信(2/3 ページ)
紙器・パッケージの製造販売を行うサガシキは、日本で独占販売契約を結んでいるオープンプラットフォームのデジタルサイネージ管理システム「ENPLUG(エンプラグ)」に、新機能として顔認識システムを追加した。
国内向けは広告配信。純広告とネットワーク広告の2つの方向性
エンプラグは米国内ではYouTube、Slack、Autodeskなどの企業で導入されており、当初は「社内向けコミュニケーションツール」としての使われ方が多かった。企業内にあるさまざまな種類の業務データを統合・分析したBIツールと連動させることで、KPIなどの企業目標などを社内のビジョンなどに表示させ、従業員に可視化させることに役立てられている。
しかし、日本国内での需要は広告宣伝やイベントの方が依然として高く、サガシキではターゲットを純広告と、ネットワーク広告に絞って、2017年11月から販売代理店数社と契約を交わして販売展開している。
渡部氏は、純広告とネットワーク広告の違いを「純広告は、大型のショッピングモールなどにおける通常の商品広告のことで、ネットワーク広告は、不動産賃貸や美容院といった路面店のDSを対象にしている。路面店は媒体として面数をおさえ、同じエンプラグシステムを導入することで、広告を一括配信できる環境が実現する。DSのヨコのネットワーク構築になり、全体で媒体の価値を上げることにもつながる」とメリットを語る。
販売先の一案として、不動産賃貸店への注力を挙げる。物件の概要、間取り図、地図などをまとめた資料「マイソク」をデジタル化してDSに表示する。この合間に、個人がアプリで不動産を検索した履歴などと連動させ、不動産屋の前を通った時に、マッチする分譲マンションなどの広告を放映。ネットとは異なる不動産広告の新たな展開をも見据えている。
これまでのDSには見られなかった事例としては、全国300〜400棟のマンションを扱う管理会社が、住民サービスの一環として、筐体も含めたエンプラグの導入を検討。紙ベースで投函しても伝わりにくい「回覧板」に書いてあるような掃除サービスやエアコン修理の案内などをデジタル化することで、一度は目を通すようになる。生活情報の合間には、管理会社のPRや個別サービスといった広告を挟むこともできる。
また、同じビル管理でも、不動産デベロッパーが開発したオフィスビルに、自社の収益となる広告媒体として、エンプラグDSを設置することもある。この場合は代理店が介在しないため、自前で営業をかけ、テナントで入居している飲食店やアパレル店の広告を流すのだという。
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