戸建て住宅のBIMデータで、建築確認を電子申請
高級注文住宅の設計事務所として知られるアーネストアーキテクツは2018年7月2日、BIM(Building Information Modeling)ソフトウェアを使って、RC造戸建て住宅の建築確認で電子申請を行い、確認済証が交付されたことを明らかにした。
アーネストアーキテクツは2018年7月2日、ハンガリーのGRAPHISOFTのBIMソフトウェア「ArchiCAD」とBIMビュワー「BIMx」を使用し、電子申請で鉄筋コンクリート造の戸建て住宅の確認済証が交付されたと公表した。
BIMデータをビュワー用に変換して建築確認の電子申請
アーネストアーキテクツは、ArchiCADで作成したモデルデータを改竄(かいざん)不可能な情報とするため、BIMxデータに変換し、確認検査機関の日本ERIとクラウド上で共有した。BIMビューアを活用することで、日本ERIは高価なBIMソフトウェアを購入しなくても済む。
モデルデータは、道路斜線や北側斜線といった斜線規制を3Dオブジェクトで表示し、斜線の検討内容を3Dビジュアル化。3Dラベルを利用した3Dモデルと2D図面情報の整合性を確保し、ゾーンオブジェクトを使って面積算定方法の簡略化を試行した。
確認済証は、一般的には着工前にその計画が建築基準法に適合するかどうか、建築確認申請で審査し、内容が確認された場合に発行される。これまではアーネストアーキテクツでも、建築工事に使用する図面を申請用に書き直して申請をしていたという。
図面作成の時間や図面どうしの不整合などの問題があったが、今回は3DCADで描いた建築工事に使用する図面をBIMビュワーソフトで閲覧できるデータに変換することで、諸問題をクリアした。
社内における確認申請用の図書作成の時間短縮につながり、確認検査機関である日本ERIは、電子申請受付のWebシステムを介して、手間なく確認済証を交付することができるようにもなった。将来的には、3Dモデルのさらなる活用により、審査期間の短縮も期待されるている。
今回の確認申請の試みでは、ArchiCAD販売代理店の大塚商会がBIMワークフローを、BIMソフトウェアメーカーのグラフィソフトジャパンが、BIMワークフローに関するノウハウならびに技術支援を行った。
今後の課題としては、建具オブジェクト情報を利用し、採光・換気・排煙計算の簡略化を検討するとともに、ノウハウについては、アーネストアーキテクツと大塚商会、グラフィソフトジャパンが共同でマニュアルをまとめ、対外的な講演活動などで周知していくとしている。
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