ナノ技術で約2倍の耐傷性を保有する非塩ビ化粧シートを開発、凸版印刷
ナノ材料をカプセル化した「Smart NANO」技術を搭載した新商品「101エコシート Smart NANO」の色柄サンプルを6月から出荷。今秋からの本格販売を目指す。
凸版印刷は、ドアや扉などの建具用化粧材・101エコシートに、「Smart NANO(スマートナノ)」技術を搭載し、従来品より約2倍の耐傷性・耐擦過性を実現した新商品「101エコシート Smart NANO」を開発。マンションといった住宅内装用途に向け、2018年6月からデベロッパー、建築士、デザイナー向けに色柄のサンプル出荷をスタートする。
オレフィン系の建具用化粧シート、ラインアップは全18点
Smart NANOは、東京理科大学の阿部正彦教授らのベンチャー企業・アクテイブと共同開発した新技術。超臨界逆相蒸発法により、ナノ材料をカプセル化し、化粧シートなどに機能性添加剤として組み込むことで、硬さや傷・汚れの防止など、表面性能を飛躍的に向上させた。
新開発の101エコシート Smart NANOは、燃焼時に有害物質が発生し難いオレフィン系(非塩ビ)樹脂による建具用化粧材・101エコシートに、Smart NANO技術を搭載。従来の強みである優れた加工性やデザイン性、高い耐汚染性を継承しながらも、約2倍となる高い耐傷性を実現した。
凸版印刷は、1990年代に脱塩ビの流れが起きた時に、業界でもいち早く非塩ビの化粧シートを世に送り出している。現在では、OEM/ODM以外の自社で流通させている化粧シートは、非塩ビ系がメインとなっている。
2017年度より販売している傷や汚れのつき難い床用化粧シート「101レプリア Smart NANO」と合わせて使用することで、Smart NANO技術で高い表面性能を有した床材と建具のインテリアコーディネートが可能となる。
101エコシート Smart NANOのラインアップは、プリートオークやアイリスノーチェをはじめとする全18点。価格は101エコシリーズと同程度としている。販売は2018年秋頃からに開始する予定。
101エコシート Smart NANOのラインアップは、木目調のプリートオークやアイリスノーチェをはじめとする全18点。価格は101エコシリーズと同程度を設定した。デベロッパー、建築士、デザイナー向けにカタログを順次配布し、販売は2018年秋頃から開始していく予定。
凸版印刷では、化粧シートの国内市場について、次のようにコメントする。「長期的には新設住宅着工の長期漸減化に伴い、マーケット規模の収縮が予測されるが、2020年に向けて非住宅の需要増を期待している」。
引き続き、Smart NANO技術の開発を進め、住宅やホテル、店舗・公共施設などの内外装・エクステリアなど広い用途に展開し、シリーズ全体で2020年までに約500億円の売上を目指すという。
なお、今回の101エコシートをはじめ、非塩ビの流れに対する今後の施策については、「1995年から住宅産業では、非塩ビ素材が需要の中核をなし、当社はいち早く非塩ビ製品を中心とした技術開発をスタート。今後も非塩ビ製品は、不燃性や外装活用などから高度化する市場ニーズに応え得るものであり、さらなる製品の高性能化・高機能化を進めていく」としながらも、「塩ビ製品も、特定の市場では底堅い需要があり、得意先の要望に応じた生産活動を継続する」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3M ダイノック フィルムに「マットシリーズ」追加
ホテルや店舗の内装材として多数の採用実績のある3Mダイノックフィルムに、内装材のデザイントレンドとなっているマット仕上げを取り入れた「マットシリーズ」が加わった。 - 乾燥収縮のひび割れ防ぐ、コンクリート技術を確立
フジタは安藤・間、熊谷組、佐藤工業、戸田建設、西松建設、前田建設工業の6社と共同で、コンクリートの乾燥収縮によるひび割れを制御できる技術を確立。研究施設と教育施設の化粧打放し壁、事務所ビルの外壁、物流施設の床スラブなどに既に導入されている。 - 蓄電池の需要は急増、2030年の市場規模は1.2兆円以上に
調査会社の富士経済は今後の二次電池の市場規模予測を発表。再生可能エネルギーの導入拡大や自家消費モデルの進展により、2030年のグローバル市場規模は、2017年比6.6倍となる1兆2585億円まで拡大すると予測した。 - 銀座・京都・神戸で3ホテルを出店、2020年から順次開業
ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは、銀座・京都・神戸でホテル3店舗を出店する。3ホテルは2020年から順次開業し、2022年秋には客室数がロイヤルパークホテルズ全体で4100室となる見込み。