2018年度の建設市場動向、人材不足や資材高騰で減益
ヒューマンタッチ総研は、建設業4業種の2017年度上場企業決算から分析した建設市場の動向を公表した。2018年度は業績好調も人手不足や建設資材の高騰で減益になる企業が多いと予測した。
ヒューマンタッチ総研は2018年6月1日、総合工事業(ゼネコン)、土木工事業、電気設備工事業、管工事業の4業種について、3月期決算の主要上場企業各10社の2018年3月期の決算と2019年3月期の業績予想を発表した。
2018年の売上高トップは大林組、2019年は鹿島建設の予想
各業種の上場主要10社合計の2018年3月期(連結)実績をみると、売上高は4業種ともに前期比で100%を超え、経常利益は土木工事業が同比90.2%となったもののそれ以外の3業種は2017年3月期を超え、好調な決算となった。
2019年3月の業績予想では、4業種の売上高は前期を上回り、順調に伸長することが見込まれる。一方で経常利益は、人手不足による人件費や建設資材の高騰などの引き下げ要因により、4業種で前期を下回るとした。
業種ごとにみると、総合工事業(ゼネコン)は、2018年3月期は8社が増収増益。手持ち工事の消化が順調に進んで完成工事高が増加したことなどが寄与した。売上高の首位は大林組。次いで鹿島建設、大成建設までがトップ3。その後、清水建設、長谷工コーポレーション、五洋建設、前田建設工業、戸田建設、三井住友建設、安藤ハザマの順で続く。
2019年3月期の売上高は、10社全てが前期比で増加となると予測。東京五輪関連の工事をはじめ、再開発事業がピークを迎えることを背景に、売上高は拡大することが見込まれる。経常利益は、大林組、清水建設、五洋建設、戸田建設がプラスとなる以外は、鹿島建設の同期比65.1%減をはじめ、6社で減益。工事量が増加する中で、人手不足による人件費高騰や資材コストの上昇などを要因として挙げる。
2019年の売上高ランキング予測は、前期比9.3%増の鹿島建設がトップ。続いて、大林組、清水建設、大成建設、長谷工コーポレーション、五洋建設、戸田建設、前田建設工業、三井住友建設、安藤ハザマ。
土木工事業では、豊富な手持ち工事の消化が進み、8社で増収。資材コストの高まりで経常利益は8社が減益となった。売上高のランキングでは、NIPPOが1位で、前田道路、日本道路、東鉄工業、ピーエス三菱、川田テクノロジーズ、ライト工業、東亜道路工業、世紀東急工業、日特建設。
2019年3月期には売上高は7社が前期比で増加し、堅調に推移すると予測される。売上高ランキングは、NIPPOが2018年同様にトップ。その他は若干の移動はあるものの、大幅な順位の変動はない予想となった。
電気設備工事業の2018年3月期決算は、8社で増収増益となった。順位は関電工、きんでん、コムシスホールディングス、九電工、協和エクシオがトップ5。6位のユアテックのみが前期比94.3%の減収だった。
2019年3月期の売上高はきんでんとユアテックが減収。他の8社は増収となる見通し。経常利益は、関電工、コムシスホールディングス、九電工、協和エクシオ以外の6社が減益となる見込み。
空調設備工事などを行う管工事業の2018年3月期決算は、7社が増収増益。高砂熱学工業をはじめ、4社の売上高が10%以上の前期比プラスとなった。2019年3月期の売上高は、7社で前期を上回るが、経常利益は6社で減益になるとした。
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