トンネル発破の火薬量を自動算出、2018年秋に現場導入
三井住友建設は、トンネル工事の発破作業で、適正な火薬量を自動で算出して、現場でモニターに見える化する技術を開発した。2018年秋頃の現場での試験的な導入を予定している。
三井住友建設は2018年05月21日、建設現場向けに情報化施工を支援している演算工房と共同で、トンネル発破作業の火薬適正量をリアルタイムに自動算定するSMC-Tunnelingシリーズ「きれいni発破」を開発し、実証試験で実用化のめどがついたことを発表した。2018年秋頃の現場での導入を目指すという。
装薬する火薬の適正量を自動的に算定
きれいni発破は、山岳トンネル工事で、トンネル工事用機械のドリルジャンボが装薬孔の削孔時に得られる削孔速度や回転圧といった削孔検層データを活用した新技術。掘削面の硬軟といった岩盤状況を把握して、装薬する火薬の適正量を自動的に算定し、リアルタイムでモニター表示する。
具体的な手順は、トンネル掘削の最先端箇所である切羽(きりは)を発破パターンに基づき、ブロック分けして、ドリルジャンボ搭載カメラの画像データと合成。装薬孔の全削孔検層データを1分ごとに収集し、各ブロックの削孔完了後は、ブロックごとの平均削孔エネルギーを把握する。搭載しているカメラは特殊仕様のものではなく、有効画素数210万画素ほど。
蓄積した削孔エネルギーに加え、これまでの発破で使用した火薬量と余掘り量などから、適正となる装薬量を自動で算定する。適正装薬量は、ブロックごとに色分けされ、ドリルジャンボに設置したモニターや作業員が持つタブレットなどに表示される仕組み。発破後には、3Dスキャナーによる断面計測や回帰分析により、装薬量を自動算定する精度を向上させるという。
山岳トンネル工事の切羽での装薬は、数サイクル前の削孔検層データと装薬量、発破結果をもとにした熟練技能者の判断で行われている。しかし、熟練技能者の不足や高齢化が深刻化する建設業界で、現場作業の効率化は喫緊の課題となっている。三井住友建設は、装薬孔毎の適正装薬量を自動算定し、モニター表示する「見える化」によって、生産性の向上を図る目的で、発破システムを開発した。
今後は、積極的に現場へ適用していき、実績を積み重ね、独自技術としての確立を目指す。その後、切羽へのマッピング技術の開発を進め、AI(人工知能)を用いるなど、さらなる生産性アップを図っていくとしている。
三井住友建設の担当者は、きれいni発破がもたらす生産性向上について、「過装薬による余掘り低減など施工ロスを減らすことができる。今後、2018年秋をめどに試験的に現場へ導入し、通常作業と比較することで正確な軽減率を検証していく。また、当システムでは、切羽の脆弱な部分を把握できることから、作業時の安全性も格段に向上する」と期待を語った。
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