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NYのハリケーン復旧工事に、技研製作所の圧入工法が採用:海外事例(2/2 ページ)
2012年に米国を襲ったハリケーンの復旧工事は現在でも続いている。その一環として2017年12月に着手したニューヨーク市マンハッタンの地下鉄修復と駅舎の改築工事で、高知県に本社を置く技研製作所の圧入工法が採用された。
NYでは地下インフラ工事の発注が増大
現場周辺の地盤は、岩盤の上に玉石や地下鉄建設当時の鉄くずを含む廃棄物が混在し、既存工法での鋼矢板の打設は困難とされていた。地下に埋め込まれたライフライン、周辺の商業施設、道路交通網などへの影響も懸念されたため、周辺環境へのリスクを最小限に抑え、硬質地盤でも圧入を可能にする技研製作所の「硬質地盤クリア工法」が採用された。
圧入とは、鋼杭やコンクリート杭を油圧による静荷重で、地盤に貫入させる技術。今回採用された硬質地盤クリア工法は、独自の「芯抜き理論」を実用化したドリル(オーガ)掘削と圧入を連動させた貫入抵抗力が低減する工法で、玉石混りの砂礫(されき)層や硬質地盤への鋼矢板の圧入を実現させた。
ニューヨークの地下鉄は、開業から114年が経過し、地下ライフラインとともに老朽化対策が急務となっている。米トランプ政権は今後10年間で1.5兆ドル(約164兆円)のインフラ投資を行う計画を掲げており、都市の地下インフラ工事は加速化するとみられる。技研製作所では、ニューヨーク周辺の発注者、設計会社、建設会社からの問い合わせが増加傾向にあるとして、圧入工法の認知度の高まりとともに同地域でのさらなる採用拡大に期待を寄せている。
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