2体のロボットが、会話しながら天井石こうボードを貼る
戸建て住宅も含めた建設現場で、天井の石こうボードを貼る2体のロボットが開発された。AIでお互いにコミュニケーションを取り、作業位置や施工箇所を共有して効率的な貼り付け工事を行う。
サービスロボットの開発メーカー「テムザック」は2018年5月16日、積水ハウスと共同開発を進めてきた天井石こうボード貼り用ロボット「Carry」と「Shot」の2体を発表した。
互いに会話して位置情報や施工場所を判断
CarryとShotは、人間の作業員同様に、AIで互いにコミュニケーションを取り、位置を教え合い、全体の作業がスムーズに進むように、自分でどの場所にいるべきか、どんな行動をとるべきかを判断。工事の進捗状況や精度の必要な作業の際も互いに話し合ってフォローする。
Carryは天井石こうボードの位置決定と運搬、Shotはビス打ち固定を担う。工程としては、まずCarryが施工箇所の正確な位置を採寸。収集したデータをベースに、人の作業員には必要な石こうボードのサイズを伝え、Shotには施工位置やビス打ち位置をそれぞれ伝達する。
人は石こうボードを加工してロボットへ積載。CarryとShotが運搬し、天井へ位置合わせをする。最終的にビスで確実に固定するのはShotが行う。人と2体のロボットの協調作業で、ボードの重なりや隙間が無い、精度の高い作業が実現する。
施工箇所により、石こうボードの大きさは異なるため、Carryは持っているボードの大きさを認識し、そのサイズを含めた自分の大きさを判別。CarryはShotへ自分の今の大きさを伝え、作業の優先度を考慮し、どちらがどちら側へ避けるべきかを話し合い、衝突を回避する。そのため、人と同じように自由に動き回ることができ、柔らかい足元や明るさが変わるといった不安定な環境でも、指先の精度を保ちつつ、四隅含む天井への正確なビス打ちを可能にする。
2体のロボットは、個人住宅の施工現場でも導入できるように設計。分割して運び込むことができ、組み立ても短時間で済む。
積水ハウスは、建設業では従業者の不足により、施工力の低下が懸念されているとし、施工従事者の確保を目的にロボットを開発したと説明する。
個人住宅での活用を想定した建築施工ロボットは、ゼネコンで活用されている大型や据付型の装置とは異なり、搬入が容易で機動力があり小型化・軽量化されたロボットであることが条件だった。そこで、人とほぼ同じぐらいの大きさの小型ロボット2体に分割し、それぞれに異なる機能を持たせ、ロボット同士の協調作業を行わせることにしたという。
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