市バスでデジタルサイネージの広告効果を測定、神戸市:デジタルサイネージ
神戸市は、運営する市バスの車内にデジタルサイネージ(DS)を設置し、広告効果などを測る実証実験を開始した。DSの筐体は、WillSmart(ウィルスマート)がバス車内での運用を想定した特別仕様で開発した。
神戸市交通局は、市バスを「情報通信基地」として活用することを目指し、ネットワーク対応型DSの実証実験を2018年5月31日まで行っている。
バス内DSでシステム運用や広告効果を検証
市の進める実証実験は複数段階予定されており、今回は第2弾となる。実施期間は2018年4月13日〜5月31日で、市バス2系統(元町1丁目・三宮神社〜阪急六甲、JR六甲道駅)のバス5台にDSを設置し、神戸市交通局からのお知らせや企業広告を放映。情報を更新しつつ、スムーズに配信できるか否かというシステム面の確認や広告効果を検証する。実験にはゼンリンデータコム、WillSmart、日立製作所が参画している。
導入されたDSは、ゼンリンデータコムの子会社WillSmartが提供。DSの筐体には高い耐用時間を誇る部品を採用し、堅牢・熱・振動・電圧変動などバス内の環境に対応する仕様とした。スケジュール・コンテンツは機器に保存でき、ネットワークが不安定な状態でも利用可能だという。
液晶モニターは強化ガラスで、サイズは23.1インチ(解像度1920×1080)。視野角は高視野角の178/178°、輝度は250cd(自動調整有)。モニターにはSTB(SetTopBox)が内蔵され、データ通信に応じる。クラウドシステムを活用したアプリケーションをインストールすることで、動画や静止画、PDF、パワーポイントなどのドキュメント、HTMLコンテンツを流すことが可能になる。筐体全体の寸法は(W)575×(H)530×(D)62mm。
WillSmartは、DSのハードウェア部分の設計・開発・設置の他、ソフトウェア領域でクラウド配信システム「Will-sign」の提供、広告配信の企画・運用でも協力した。
神戸市は、今回の実験で一定の成果が得られた場合、本格導入に向け広告効果の検証をより詳細に行うため、さらにDSの実験を継続していく。また、次のステップではバス前方に車外カメラを設置し、リアルタイムで道路などの車外情報を収集するテストを行うとしている。
第1弾の実証実験では、車と車以外のあらゆるものをつなげる通信技術「V2X(Vehicle to X)ユニット」を活用して、PCやスマートフォンでバスの位置を確認できるバスロケーションシステムを2017年4月より本格導入し、機能を確認した。V2Xユニットは、Vehicle to Xユニットの略で、携帯電話網(データ通信)・通常のWi-Fi機能・V2Xユニット間を接続するWi-Fi機能の3つの異なる通信を搭載し、車同士での情報交換や災害時にはネットワークの基地局としての活用も期待されている。
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