NIPPOの重機用緊急停止システムが安全規格第1号、重篤災害ゼロを目指し開発(2/2 ページ)
NIPPOが、重篤事故ゼロを目指し開発した建設機械用の緊急自動停止技術「WSシステム」が、新しい安全規格「Safety 2.0」の適合第1号に認定された。WSシステムは2016年に実用化されたタイヤローラーとホイールローダーを対象とした緊急自動停止装置。これまでの警報音を鳴らして、危険を知らせるのではなく、より確実に安全性を確保するため、物理的に重機をストップさせることに発想を転換して実用化させた。
後付け方式のため、メーカー・機種を限定せずに搭載可能
NIPPO 総合技術部 生産開発センターの担当者は、開発経緯について、「道路の舗装工事に使用するタイヤローラーの後方は死角が多い上、意外と速度が出るため、作業員が路面の温度を測っているときなどに気付かずひかれてしまう事故が起きていた。これを踏まえ、これまでの警報音で知らせるタイプではなく、物理的に機械を止める確実な手段を採用。検証テストを重ね2016年に実用化させた」。
一方、「ホイールローダーは、当社では工場内での運用が多く、場内を出入りする車両や障害物にぶつけてしまう事例が報告されていた。このため、従業員や車両の全てにICタグを付けるのではなく、重機自体にカメラを設置する方法を選択した」と説明。
WSシステムの特長に関しては、「両システムとも後付け方式なため、リース・レンタル機でも、メーカー・機種を問わず、容易に脱着できる。WSS-TRは現在20台が稼働しているが、作業が終われば別のタイヤローラーに付け替えることができるので、これまで延べ50台で運用実績がある。WSS-WLは、当社のアスファルト合材工場25工場で採用されている」。
安全規格を認定したIGSAPでは、2018年2月28日から正式運用しているSafety 2.0を3段階の適合レベルに区分。第1号となったWSシステムは、レベル1の仕様面における対策で評価された。次のレベル2は運用面・要員能力、レベル3はそれに加えた改善や成果をそれぞれ段階的に審査する。
IGSAPの事務局は、「認定されれば終わりではない。今回認定を受けたWSシステムの有効期限は2021年2月28日までと設定されている。3年に1度、適合基準を維持できているかどうかも調べ、規格自体の信用性を担保する。現在、トンネルのレーザー検査技術やロボットメーカーなどからも申請があり、建設業だけに限らず、Safety 2.0の制度周知を多様な業種に広めていきたい」とコメント。
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