建設70社が導入した音声入力システム、AIが施工会社を判別する新機能:情報化施工
アドバンスト・メディアは音声入力で建築検査が行える同社のサービスに、AIが協力施工会社を自動選択する機能を追加。建築仕上げ検査の記録時に、指摘内容に合わせて担当した施工協力会社を自動入力できるという。
アドバンスト・メディアは2018年2月14日、音声認識を活用した建築工程管理のプラットフォームサービス「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォーム」(以下、AmiVoice SIP)に、発話するだけで協力施工会社を自動選定できる機能を追加したと発表した。AmiVoice SIPは配筋検査や仕上げ検査におけるさまざまな入力作業を音声認識で行えるシステム。今回新たに追加した協力会社の自動選定機能により、仕上げ検査業務のさらなる効率化が見込めるという。
同社は独自開発の音声認識技術「AmiVoice」を活用し、議事録作成や入力作業の自動化などの各種サービスを展開している。2016年からは生産性の向上が課題となっている建設業界向けに、業界特有の用語も識別できる専用音声認識エンジンを利用したサービスの提供を開始。第1弾として2016年1月に建築仕上げ検査向けのサービス「ス―パーインスペクター」を、2017年9月には配筋検査にも対応したAmiVoice SIPを発表した。
AmiVoice SIPは、作業者が装着したマイクと、スマートフォンやタブレット端末を利用し、仕上げ検査や配筋検査用のアプリケーションを通して音声で記録作業が行える。タブレット端末などで撮影した写真と、検査記録の内容も自動でひも付けが行われるため、仕分け作業をせずに帳票としてアウトプットすることも可能だ。月額制のクラウドサービスとなっており、入力した内容や撮影した写真の一元管理も行える。
建設現場での生産性向上ニーズが高まっていることを背景に、これまでに仕上げ検査向けは70社以上の建設会社に、2500ライセンス以上の導入実績があるという(関連記事「“音声入力”で変わる建築検査、作業時間を40%短縮」)
施工協力会社をAIが自動で選定
今回AmiVoice SIPに追加した施工協力会社を自動選定する機能は、内装仕上げ向けのサービスとなる。これまでのAmiVoice SIPでは、仕上げ検査時に音声入力で、洋室やキッチンなどの室名、サッシや壁などの部位、指摘事項などを発生するだけで入力することができた。しかし、その部位をどの協力施工会社が担当したかは、作業者の知見に委ねられていた。
近年、建設現場の労働者不足が懸念される中で、仕上げ検査を派遣人材や、他の現場からの応援に任せることも増えている。現場の担当社員であれば、その部位をどの協力施工会社が担当したか判別できるが、異なる作業者の場合、どの施工会社だったかを判断することは難しい。そのため、音声で部屋や部位、指摘事項は入力できても、担当した協力施工会社については担当社員が再度チェックして振り分ける必要があった。この協力施工会社の入力・判別を、人工知能(AI)で自動化できるというのが、今回追加した新機能だ。
どのように協力施工会社を自動で判断するのか。アドバンスト・メディアが活用したのが、これまでAmiVoice SIPに蓄積されてきた、仕上げ部位とその指摘事項に関するデータだ。「サッシ キズ」「ガラス シール不良」といった指摘事項の情報に対して、それに対応する工種のデータをひも付ける。この指摘事項と対応する工種がひも付いた数十万件のデータを「教師データ」としてAIに学習させることで、指摘事項が入力されると、その工種を担当する協力施工会社を自動的に判断するようにした。ただし、事前にその案件ではどの工種を、どの協力施工会社が担当するかを登録しておく必要がある。
なお、この新機能は追加料金なしで利用できる。AmiVoice SIPの基本料金(30GBのストレージサービス含む)は月額2980円で、仕上げ検査用のアプリケーションは同9800円となっている。
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