設計段階で省エネ技術の効果を判断、ゼネコン6社がZEB評価ツール開発:省エネビル
青木あすなろ建設などのゼネコン6社が、一次エネルギー消費量がネットでゼロになる「ZEB」を構成する、さまざまな省エネルギー技術の導入効果を設計段階で評価できる「ZEB評価ツール」を開発。より効率的なZEBの設計を推進する。
青木あすなろ建設などのゼネコン6社は2018年2月、一次エネルギー消費量がネットでゼロになる「ZEB(Net Zero Energy Building)」構成するさまざまな省エネルギー技術の導入効果を設計段階で評価できる「ZEB評価ツール」を開発し、活用を開始したと発表した。
共同開発を行ったのは、青木あすなろ建設の他、五洋建設、錢高組、東亜建設工業、西松建設、三井住友建設の計6社。ZEBの実現を目指した設計を行う場合、各技術を適用した時の省エネルギー効果を、事前に評価する必要がある。これまでのツールでは評価できる省エネルギー技術の種類に制約があった他、操作に対する専門知識や利用制限などの課題もあり、限られた設計期間の中で実務設計者が活用することは難しかったという。
そこで新たに開発したZEB評価ツールは、空調用の1次エネルギー消費量計算に、建築設備技術者協会(JABMEE)が提供している「HASPプログラム」を採用。さらに、ZEBに有効で先進的技術とされる「ダブルスキン」「自然換気」「地中熱利用」などの空調の省エネルギー評価も行える。加えて、ZEB評価の対象となっている消費設備(空調、換気、照明、給湯、昇降機)についての年間1次エネルギー消費量」の算出や、建築物省エネ法で定められた性能判断基準である「BEI(Building Energy Index)」の算出も行えるようにしている。
この他、複数の設計案の評価結果についてグラフ描画、比較が可能できる機能や、ZEBの達成度合いを評価できる「ZEBチャート」の自動描画機能なども搭載した。
今後、開発各社はZEBツールを顧客への提案に活用していくとともに、操作性のさらなる改善や、評価できる省エネルギー技術の充実化を進めていく方針。なお、三井住友建設はZEBのコンサルティングや、BIMモデルからZEB評価ツールの入力データを自動生成する仕組みを構築する方針としている。
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