五輪特需は一段落――ジョンソンコントロールズが予測する国内建設市場の今後:省エネビル
ジョンソンコントロールズは2017年12月20日、都内で記者会見を開催し、2017年の国内市場と同社の動向について振り返りを行った。また、2018年以降に向けた同社の取り組みを紹介した。
オリンピック特需に関連した案件は2017年で一段落
ジョンソンコントロールズは2017年12月20日、都内で記者会見を開催し、2017年の国内市場を振り返りつつ、同社の企業活動について説明を行った。また、人材不足が叫ばれる建設業の中で、2018年以降に向けた同社の新しい取り組みを紹介した。
会見では同社社長の吉田浩氏が、ジョンソンコントロールズから見た2017年の国内市場について説明。新築案件の需要は堅調に推移しているとしつつ、「2017年で、オリンピック特需に関連した大型案件の受注は出そろったとみている」(吉田氏)。再開発をはじめとした国内の大規模ビル・施設案件の営業フェーズは一段落し、オリンピック前の完工に向け施工段階に入っているとの認識を示した。
また、中小規模ビル・施設の新築案件であっても大都市圏と地方では、需要の様相が異なっており、「東京・大阪など大都市圏は引き続き好調を維持しているが、とある地方では前年比でフラットもしくはマイナスとなっている」(吉田氏)と説明する。吉田氏は、「日本全体でみると(新築市場の)成長率は鈍化してきているのではないか」として、2018年以降の新築市場は踊り場に差し掛かりつつあるとの見方を示した。
新築案件の需要減とは対照的に、既存建築物の改修案件が増加してきていると吉田氏は指摘する。「中長期的に見ると、日本市場の中心は新築から改修へシフトしていくだろう」(吉田氏)として、同社の取り組みとしても改修事業をさらに伸ばす方向にあると語った。
また、人材不足が深刻化する建設業で将来に対する投資として、同社は人材育成・働き方改革を推進する取り組みを紹介した。数年前より新卒採用を拡大している同社は、豊富な研修制度を用意することで、若手社員の生産性向上や熟練技術者の技術伝承を図っているという。働き方改革については、ノー残業デーの設定や、2018年より一部部門で試験導入される在宅勤務制といった人事制度の導入に限らず、属人的業務を解消しチームでサポートするなど社内のワークライフバランス意識を醸成することに力を注いだとする。
空調の自動制御に強みを持つ、ビル管理システム大手のジョンソンコントロールズ。2017年について同社は、ビル防火やセキュリティシステムにノウハウがある米タイコ・インターナショナルとの合併によるグローバル経営陣の刷新や、アジアパシフィック本社を上海に設置するなど激動の1年だったと振り返る。
日本法人における2017年の業績に関しては、具体的な数値は非公開と前置きしつつも堅調な新築需要にけん引され好調だったとして、「持続的な成長という意味で、目標を達成している」(吉田氏)と述べた。2018年以降について、タイコが持っていた強みを融合したビル統合制御システムを日本市場でも導入を検討するなど、さらなる成長を目指し努力をしていくと抱負を語った。
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