インフラ監視を容易に、配線不要の無線センサーシステム:検査・維持管理
OKIはインフラ構造物を遠隔監視できる「無線加速度センサーシステム」を開発。構造物の振動や傾きの情報を、配線不要で遠隔から簡単に監視できるのが特徴だという。
OKIはインフラ構造物の遠隔監視向けに「無線加速度センサーシステム」を開発し、2018年1月から販売を開始すると発表した。同社の920MHz帯マルチホップ無線「SmartHop SR無線モジュール」を用いており、配線工事を行うことなく、効率的に構造物の振動データなどを遠隔から収集・可視化できるという。
現在国内では、高度経済成長期に建設され、老朽化が進む橋梁(りょう)などインフラ構造物の維持管理とその効率化が課題となっている。また、定期点検だけでなく、大規模な自然災害発生時には、インフラ構造物の被害状況の迅速な把握や、安全性の確認が求められる。そのためにセンサーを用いた状態監視システムが利用され始めているが、配線工事を伴う計測器を用いたシステムの構築には大きなコストが掛かる点が課題となっている。
そこでOKIは、配線工事が不要で設置性を高めた無線加速度センサーユニットを用いたシステムを開発。インフラ構造物の振動および傾きの変化を無線ネットワークを通じてサーバ上に収集することで、容易に遠隔監視が行えるという。
インフラ構造物に取り付ける無線加速度センサーユニットは、5年間を超える電池駆動が可能という。配線工事が不要なため、さまざまな場所に設置できるメリットもある。収集したデータの管理ソフトウェアは、センサーユニットの設定変更やマップ表示による設置場所の管理、収集したデータを可視化する機能を備える。
2018年1月からインフラ構造物の維持管理を行う事業者や自治体向けに販売を行う。システムの価格はオープン。OKIは2020年までにSmartHop関連事業で、合計20億円の売上を目指す方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 供用中の橋梁を遠隔監視、カメラとセンサーで維持管理を効率化
西松建設と大日本コンサルタントなどで構成するコンソーシアムは、センサーやカメラで供用中橋梁を遠隔監視できるモニタリングシステムのプロトタイプを開発。福岡県久留米市にある築42年の道路橋で実証実験を開始した。道路橋梁の点検後に任意のポイントを継続的にモニタリングできるようにするなど、維持管理コストの効率化や負荷軽減に貢献するシステムだという。 - ロボットカメラが橋を独走、橋梁点検を省力化する新装置
三井住友建設は橋梁点検の大幅な省力化を可能にするという、ロボットカメラを活用した自走式装置を開発。実証を経て実用化へのめどをつけたという。 - “音声入力”で変わる建築検査、作業時間を40%短縮
アドバンスト・メディアは、音声認識技術を利用した建築検査向けサービスを開発した。音声入力の活用によって、配筋検査や仕上げ検査に掛かる時間を最大40%短縮できるという。 - 10人分の仕事を1台で実現、鉄筋結束作業の自動化ロボット
千葉工業大学と大成建設は、鉄筋工事の鉄筋結束作業を自動化するロボットを開発した。身体的負担が大きい鉄筋結束作業の省力、効率化により、鉄筋工事の生産性向上を狙う。