ロボットカメラが橋を独走、橋梁点検を省力化する新装置:点検・維持管理
三井住友建設は橋梁点検の大幅な省力化を可能にするという、ロボットカメラを活用した自走式装置を開発。実証を経て実用化へのめどをつけたという。
三井住友建設は2017年10月、ロボットカメラを活用し、橋梁側面を自動で点検できる自走式装置を開発したと発表した。人手による点検作業の大幅な省力化が見込めるとしており、実証を経て実用化へのめどをつけた。
開発した装置に利用したカメラは、日立産業制御ソリューションズと共同開発し、既に販売を開始している「橋梁点検ロボットカメラ:懸垂型」を利用している。橋梁の高欄(こうらん)に引っ掛けるようにして設置し、点検員が目視で確認するには困難な場所を、伸長可能なポールに設置したカメラで効率良く撮影できるようにしたのが特徴だ。
しかし、これまでは点検場所ごとに設置と撮影、撤去の作業を繰り返す必要があった。そこで今回、この橋梁点検ロボットカメラに、こうした作業を省力化できる自走式装置を組み合わせた。装置には軽量な部材を利用しており、人力で搬入できる。高欄に取り付ける組み立て作業は、2人程度で容易に行えるという。
これまでは点検員が撮影操作を行う必要があったが、無人点検を可能にする工夫も加えた。橋梁点検ロボットカメラには、「自動首振り撮影機能」が搭載されている。これは、事前に所定のひび割れ幅が取得可能な画角と撮影範囲を指定することで、カメラが自動で首振りを行い、分割された拡大画像を取得できる機能だ。この機能を生かし、撮影終了が終了すると、指示を与えなくてもカメラが自走式装置で次の点検場所に移動できるようにした。
従来のロボットカメラを用いた点検では、カメラを操作する点検員が必要で、その場で操作端末を見ながら損傷を探すスタイルが一般的だった。さらに、先述したように、カメラを移動させるための繰り返し作業が発生していた。しかし、今回開発した自走式装置を用いることで現場で行う作業はカメラの設置と撤去のみに減らすことができる。高度な技術力を必要とする損傷の確認作業は、点検作業後、室内作業で行うという。すべての画像を規則的に取得するため、損傷の位置特定も行いやすく、損傷がないことのエビデンスとしても活用できるメリットもあるとしている。
開発した自走式装置は、神奈川県内の橋梁建設現場や、兵庫県の実橋で実証を行い、実用化できるめどをつけたとしている。三井住友建設は、今後も増加が見込まれる老朽化橋梁の維持管理業務に開発した装置を活用し、業務の効率化に生かす方針だ。
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