地震直後に安全度を“見える化”、建物の損傷を素早く検診:関西スマートビルディングEXPO 2017
NTTファシリティーズは、「関西 スマートビルディングEXPO」で建物安全度判定サポートシステム「揺れモニ」などを展示した。地震直後に素早く建物の安全度を判定できるシステムだ。
NTTファシリティーズは、「関西 スマートビルディングEXPO」(「関西 住宅・都市イノベーション総合展」、2017年9月20〜22日、インテックス大阪)に出展し、建物安全度判定サポートシステム「揺れモニ」、無線個別調光照明制御システム「FIT LC」、空調のエネルギーコストをIoTで削減する「SmartStream」などを紹介した。
建物安全度判定サポートシステム「揺れモニ」は、地震直後に建物の安全度を判定するシステム。庁舎や学校をはじめとする公共施設やオフィスビル、工場など低層建物の継続使用に関する安全度の判定を行う。
最初のシステムは東北地方太平洋沖地震直後に発生した、建物の継続使用に関する管理者および利用者からの不安の声や、建物安全度の調査に費やす費用と時間の解消のニーズに応えるため、中高層建物の安全度を判定するシステムとして2013年に開発した。2016年には、中層以上の建物安全度判定に活用している「変形」「固有周期」「傾斜」の3つの指標に加え、新たに「揺れの強さ」と「揺れ方」の2つを追加したことで、これまで判定が困難であった低層建物の診断を可能にした。
揺れモニには、全国約70カ所のNTTビルの維持管理で蓄積された地震観測データと構造解析技術の活用により、パラメーターの妥当性を検証している。その他、BCPをより一層推進する観点から、構造躯体(くたい)に加え、外壁、天井など非構造部材の被害予測も追加。天井、外壁、内壁、設備機器、家具などから部位を任意に選択でき、被害程度の目安を表示する。「地震発生後にそのビルをそのまま使用できるかどうかを判定する。既存のビルにもシステムを後から設置することも可能」(同社)などの特徴も評価され、導入も順調に進んでいるという。
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