オムロンと日建設計は、室内の人の数を計測できるサーモパイル型人感センサーを共同開発した。放射温度を利用して検知するのが特徴で、照明の省エネ制御、人数に応じた室内換気量の調整などに活用できるという。
開発したセンサーは、MEMS非接触温度センサーを内蔵。人からの放射温度を検出し、3.6m四方の範囲にいる人の在不在を、16分割したエリアごとに検知できる。256画素の温度データから、熱源を細やかに捉えることにより高い精度で人数を把握できるという。
オフィスなどにはOA機器など、人以外にもさまざまな熱源がある。開発したセンサーは、人の特徴点を捉えるアルゴリズムを搭載。その熱源が人なのか、機器なのかを判別できるようにすることで、人数把握の精度を高めている。センサーの大きさは120mmx65mm、設置高さは2.7〜3.0m、通信インタフェースはRS-485およびModbus-RTU、電源電圧はDC12〜24Vとなっている。
オムロンは開発したセンサーの用途として、照明の省エネ制御、人数に応じた部屋の換気量の調整などを挙げる。さらに、人の影響を除いた床の放射温度もセンシングすることで、人が快適と感じる空調の最適な温度設定や、災害時における在室者の位置および人数の把握にも活用できるとしている。
開発したセンサーは、東京電機大学「東京千住キャンパス」の新校舎5号館に約1000台納入された。東京電機大学は「理工系大学トップクラスの省CO2エコキャンパス」を目指しており、2017年1月に完成した新校舎5号館は、省エネ性能の向上を目的に同センサーの採用を決めた。
なお、同公舎の統括設計・監理は槇総合計画事務所、設備・構造設計・監理は日建設計、施工は大林組が担当している。
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