複数現場の建機情報をクラウドで一元管理、制御の自動化も視野に:情報化施工
竹中工務店は複数の作業現場の建機情報を収集し、一元管理できるクラウドシステムを構築した。工事用機械の稼働状況を一元管理し、保守運用業務の効率化を目指す。将来は収集したデータを工事用機械の制御、自動化にも活用していく方針だ。
竹中工務店は、作業所で稼働しているタワークレーン、工事用エレベータなどの遠隔監視およびデータ収集用のクラウドシステムを開発したと発表した。1つのクラウド基盤を使用し、複数の作業所における工事用機械の稼働状況を一元管理することで、保守運用業務の効率化を目指す狙いだ。
国内建設需要が増加傾向にある中で、工事用機械の稼働台数は増えており、機械を保守・運用する管理者の業務が拡大してきた。さらに、作業所における工事用機械は、異常や故障が発生した場合、現地からの電話連絡による状況報告により原因を想定し、技術者が現地に到着してからの現物調査、対応となっており、時間的なロスが多く、作業工程への影響が懸念されている。
一方、近年のセンサーやネットワークを活用するIoT技術の進展により、従来は監視・観測をしていなかったモノや情報を可視化・データ化することが可能になりつつある。
竹中工務店が今回開発したクラウドシステムは、工事用機械の遠隔監視システムにより、故障の予兆や発生をリアルタイムに把握することができ、迅速な検査、修理対応が可能となるとともに、異常や故障によるリスク低減につながるという。
加えて、同システムは製造会社の異なる工事用機械からのデータを一元管理することができ、これまで活用しきれなかったデータを分析・処理することで、作業所の安全、品質、工程、施工計画、環境(省エネ)のあらゆる分野に展開することが可能となり、建築生産効率の向上が図れるとする。
今後、竹中工務店では同システムにより収集されたビッグデータを工事用機械の制御、自動化の領域での活用を目指していく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 竹中工務店が実践する「設計施工一貫BIM」の最前線
BIMを活用して生産性や建築品質のさらなる向上を目指している竹中工務店。そのテーマは同社の強みである設計施工の一貫方式をBIMで進化させる“設計施工一貫BIM”だ。そのビジョンを体現する大阪市の現場を取材した。川上の設計工程から施工情報を取り込み、大幅な施工プロセスの効率化に成功した事例だ。 - 竹中工務店が8割の作業所にクラウド導入、工程表やCADデータを集約
竹中工務店は建設工事現場の作業所に設置したファイルサーバのクラウド化を開始した。工事現場や出先、本支店事業所など、場所を問わずに図面や工程表、CADデータなどにPCやタブレット端末からアクセスできるようにする。国内の全作業所の約8割に展開する予定だ。 - 竹中工務店の「脱炭素タウン」が進化、水素と再生エネでCO2削減
竹中工務店は先進技術を導入して街全体のCO2排出量を削減する「竹中脱炭素モデルタウン」の構築に取り組んでいる。このほど、その新しい取り組みとして水素エネルギー活用技術の実証がスタートする。再生可能エネルギーを活用した水素製造、さらにその貯蔵と利用までを統合制御し、CO2排出量の削減を目指す。