人型ロボットが操縦席に、無改造で建機を遠隔操作:情報化施工
建設機械レンタルのカナモトなど4社は、建設機械を遠隔操作で操縦できる人型ロボットを開発した。建機に改造を加えること無く利用できるのが特徴。二次災害が予想される危険地帯での活用ニーズを見込む。
建機レンタルのカナモト(札幌市)は、建設機械を遠隔操縦できる双腕双脚の人型ロボット「DOKA ROBO 3」(ドカロボスリー)を開発した。建設機械のコックピットに設置することで遠隔操作を行えるようにする。二次災害が予想される危険地帯での活用ニーズを見込み、カナモトがレンタルで提供する。
DOKA ROBO 3は本体の上半身(10kg)と下半身(8kg)を建機に設置するだけで、建機は無改造で遠隔操作をできるようにする。設置に要する時間は約1時間、撤去は30分で行えるという。
遠隔からの操作は、専用のコックピット型コントローラーを利用する。実際の建機をベースにしたコントローラーで、4画面ディスプレイにより実機に搭乗している場合と変わらない視野を確保しているという。使い慣れた建機を普段通りに操縦する感覚で扱えるとしている。
カナモトは国土交通省が2014〜2015年にかけて実施した「次世代社会インフラ用ロボット開発・導入現場実証(災害応急復旧)」に、プロトタイプに相当する「DOKA ROBO」、「DOKA ROBO 2」を参加させており、有用性も実証済みだという。
今回のDOKA ROBO 3の開発は、カナモトおよび同社子会社のKGフローテクノ(東京都港区)が製造を担当し、富士建(佐賀市)が技術協力を行った。ロボット制御用ソフトはアスラテック(東京都千代田区)が担当している。
制御ソフトウェアには、アスラテックが開発したロボット制御システム「V-Sido」(ブシドー)を採用。コックピット型コントローラーの他、オペレーターの首の動きに合わせてDOKA ROBO 3の首を動かすことが可能なヘッドマウントディスプレイ、プロポ型のコントローラーなどにも対応する。また、国土交通省の「新技術情報提供システム」(NETIS)への登録も予定している。将来的にはブルドーザー、キャリア、クレーンなどの建機にも対応する予定だ。
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