GPSマーカーとドローンが連携、建設測量とデータ処理を効率化:情報化施工
エアロセンスが、GPS測位機能付きの対空座標を利用したドローン測量と、データ処理を統合したパッケージシステムを開発した。そのマーカー位置情報と3Dモデルとの対応処理を自動化することで、測量やデータ処理の工数を削減できるという。
ドローン(UAV)を使った空撮測量を行うエアロセンス(東京都文京区)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業の成果を活用して、建設現場での測量工数とデータ後処理工数を削減するGPS付き対空標識「AEROBO(エアロボ)マーカー」を開発したと発表した。建設現場に置くことで、手間が掛かっていた測量工数を省き、簡単に座標標識を設けることができるという。加えてエアロボマーカーとドローンによる測量、データ処理を統合したパッケージシステム「エアロボ測量2.0」を開発し、レンタルおよび販売予約を2017年7月から開始する。
現在、土木・建設業界では人手不足が大きな課題となる中で、国土交通省は建設作業の効率化・高品質化に向け、ICTの全面的な活用を目指す「i-Construction」を推進。その中には、ドローンを利用した3次元計測などの活用も織り込まれている。だが、i-Constructionの基準に沿ったドローン測量の精度を出すためには、撮影前に地上に多数の対空標識を設置し、トータルステーションなどを利用して座標値を算出する必要があった。
エアロセンスは2016年7月、経済産業省およびIoT推進ラボが開催した、第2回先進的IoTプロジェクト選考会議「IoT Lab Selection」で、ファイナリストに選定され、同会議の支援機関であるNEDOの事業に「安全・簡便・高精度な3Dモデル化オペレーションの実現」というテーマで採択された。その後、同事業でGPSマーカー、GPSマーカーの制御ソフト、高精度測位アルゴリズムの成果を活用したGPS付きマーカーを開発している。
今回、それらを自社のドローンとクラウドデータ処理システムを統合したエアロボ測量システムに加え、位置情報と3次元測量データとの対応処理を自動化させたエアロボ測量2.0を開発し、商用化することにした。
エアロボ測量2.0は、エアロボマーカーを現場に置くだけでドローン飛行中にエアロボマーカー自体の位置を高精度に測位し、独自のクラウド後処理と組み合わせて建設現場での測量工数とデータ後処理工数を削減できるシステム。マーカー位置情報と3Dモデルとの対応処理を自動化することで、これまで手間が掛かっていた測量工数を省き、建設作業の効率化が期待できるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 標定点の設置を不要に、ドローン測量をさらに効率化
「i-Construction」などの進展とともに建設現場での測量に活用されはじめているドローン。光学機器メーカーのトプコンはドローンを活用した空中写真測量を、標定点を設置せずに行えるシステムを開発した。標定点の設置が不要になることで、作業効率の向上に貢献できるという。 - ドローンで空から地中探査、災害時の人命救助を迅速化
NEDOプロジェクトでエンルート、産業技術総合研究所、日立製作所、八千代エンジニヤリングは、ドローンを利用して土砂災害時に地中に埋没した車両を空中から探査するシステムを開発した。人の立ち入りが困難な災害現場での救出活動の迅速化に貢献する技術として、実用化を目指す。 - ドローン測量の課題をクリア、座標を自動取得する対空標識
建設現場でドローンを使った3D測量が広がっている。効率よく測量が行えるメリットがあるが、現場の課題となっているのが対空標識の設置と測量に手間と時間がかかる点だ。テラドローンはこうした課題を解決するGPS内蔵の対空標識の販売を開始した。自動で位置情報を取得でき、置くだけでTS測量を省くことができる。価格も数万円と安価に設定した。