都市のスマート化へAI活用、人流解析でエネルギーを最適化:FM
日建設計総合研究所とNTTは、都市のさまざまなビッグデータを活用したエリアマネジメントソリューションの提供を目指し、東京日本橋地区で実証実験に着手する。
日建設計総合研究所(NSRI)とNTTは、都市のさまざまなビッグデータをエリアマネジメントに生かすため、AI(人工知能)を利用したエリア情報活用プラットフォームの構築に向け、東京・日本橋の室町地区で実証実験に着手する。既に三井不動産と共同で同地区の複合施設「コレド室町1」において実証実験に向けた事前調査を行っており、今後は地区全体に対象範囲を広げ、プラットフォームを実際の計画・マネジメントに導入する方針だ。
事前調査ではコレド室町1を訪れる人の動き(人流)を測定し、ビルのマネジメントデータと組み合わせた分析を行った。その結果、時間や場所ごとに変化する人流の粗密度に基づいて空調を制御することで、来訪者が快適に感じる体感温度レベルを維持しつつ、空調に使用するエネルギー消費量を大幅に削減できる可能性を確認できたという。
国際的な都市間競争の激化が予測される中で、都市の魅力、付加価値を向上させるために、ビッグデータを活用した都市のスマート化は欠かせない要素となっている。
そこでNSRIとNTTは、NSRIのこれまでの都市開発に関する計画およびマネジメントなどの知見と、NTTのデータ収集や解析に関する知見を組み合わせることで、都市開発・エリアのマネジメントに対して最適なソリューションを提供することを目指し、AIを活用したエリア情報活用プラットフォーム「AI×AI(アイアイ)」の共同研究を進めている。
AI×AIは「Human-centered(ヒト中心)」というコンセプトに基づき、ユーザーにとっての快適さや使いやすさという視点を重視しつつ、実際の都市開発・エリアの計画、維持管理に関する活動を効率化するようなアルゴリズムの構築を目指している。具体的にはセンサーなどから収集したデータやエネルギー利用状況などのデータをNTTグループのAI技術「corevo」を用いて処理し、コミュニティー、交通、エネルギーなどの課題に応じて、最適なソリューションを導くことを目的としている。
AI×AIは日本橋室町地区以外のエリアや、空港やターミナル駅、スタジアムなどの大規模施設への展開も可能としており、今後は適用範囲の拡大に向けた研究開発も進めるとした。
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