BEMSアプリケーションを使いこなす:基礎から学ぶBEMS活用(2)(1/2 ページ)
ビルの効率的な省エネ施策に欠かせないIT/IoT活用。本連載ではBEMSを筆頭に、あらためてその仕組みや導入のポイントなどを解説していく。第2回はBEMSの位置付けや導入のメリットなど、BEMSアプリケーションの活用方法について解説する。
BEMSアプリでエネルギーのムラ、ムダを直感的に判断
本連載の第1回では、BASとBEMSの違いと、BEMSで何ができるかについて紹介しました。第2回の本稿では、BEMSアプリケーションを活用したより効果的な省エネの手法について解説していきます。
ビルオートメーションシステム(BAS)を導入している一般的なオフィスビルでは、電気、ガス、水道などのエネルギーデータを自動的に計測・集計し、日々の使用量を管理しています。特に、2011年の東日本大震災以降は電気料金高騰に伴い、省エネ、省電力への関心が高まり、ビルオーナーや施設管理者はもとより、入居テナント側もエネルギー使用量を正確に把握・解析し、機器の不具合や故障についてもスピーディーに改善施策を立案して対処することを重視し始めました。このようなニーズにはBEMSアプリケーションを効果的に使用することで、対応することができます(図1)。
例えば、前回BEMSのメリットで触れた、エネルギー使用量のムダ・ムラの発見です。図2に示す月間データグラフを見ると、平日の各系統の電力量は、ほぼ同じ使用量で推移しているものの、休日は、系統ごとにばらつきがあることが視覚的に認識できます。そこで、どの電気系統が何のために使用されているのかなど、具体的に調査を進めることができます。利用者が休日に出勤していたことによる電力使用であれば、出勤記録と対比することで確認できますが、照明の消し忘れなどのムダな電気使用を発見することもできるため、休日前消灯の徹底を促す一助になります。
また、1日の電力使用量の推移を表した図3では、3系統のコンセントで深夜に一定の使用電力が見受けられます。それをもとにこの時間帯の電力使用が適切なものであるかどうかを分析し、ムダが発見されれば改善につなげることができます。使用状況が見当たらない場合は、機器の不具合や故障を疑うこととなります。
このように、BEMSアプリケーションを活用することで、同じ条件でのデータをグラフ化し、年間、月間、1週間、1日などさまざまな切り口で表示することで、今まで気付くことができなかったムダ・ムラや機器の不具合などを認識できるようになるのです。
また、BASは、事前に上限、下限値を設定することで瞬時の計測値に対してこれらの設定値を越えた場合に警報を発し、オペレーターに通知することができますが、BEMSアプリケーションでは、1日、1週間、1カ月、1年などエネルギー使用量の管理目標値として上限、下限値を設定することも可能で、より長期的なスパンでもエネルギー使用量の逸脱を管理し、管理者の業務を効率化すると同時に、ムダ・ムラを見逃すことなくスピーディーな解析・対処が可能となります。
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