点群データで仮設道路計画を簡単作成、山間工事を効率化:情報化施工
山間部における道路工事やダム工事などでは、事前に重機が現場にアクセスするための工事用仮設道路を建設する場合がある。大林組は従来数日かかっていた仮設道路の計画を、点群データを利用して数時間で作成できる3Dソフトを開発した。実際の現場に導入し、工事の省力化や短工期化に役立てる。
大林組は岩崎と共同で、山間部の工事用仮設道路計画を簡単に作成できる「3D施工計画作成ソフト」を開発した。道路計画だけでなく、施工に必要な工事量を瞬時に算出することも可能で、工事の省力化や短工期化に役立てる。
山間部における道路工事やダム工事などでは、本体構造物の工事に取りかかる前に、掘削重機やダンプトラックが現場へアクセスするための工事用仮設道路を建設する場合がある。工事用仮設道路の建設は工事の初動段階であり、最適なルートを速やかに計画することが本体工事に効率化につながる。
しかし従来、工事用仮設道路は平面図と縦横断図を照らし合わせながら、計画図面を作成してルートを検討していた。複数の案を比較検討するため、多量の図面を作成する必要があり、多くの時間と労力が掛かっていた。
開発した3D施工計画作成ソフトは、ドローンや3Dレーザースキャナーで取得した地形の3D点群データを用いて、工事用仮設道路を通過させたい地点を端末上でクリックするだけで、道路計画のイメージを作成することができる。従来の手法で数日間かけて作成していた道路計画のイメージを2〜3時間で作成できるという。特に複数の計画案を比較検討する際にはより大きな効果が得られ、緊急性の高い災害復旧工事においても、仮設道路の迅速な計画立案が可能としている。
さらに地形の3D点群データと、計画した道路の高低差から施工に必要な切土量や盛土量を瞬時に算出できる機能も備える。さらにこうした切盛土量などのデータを、使用する重機の施工能力データと組み合わせ、仮設道路の建設にかかる予想工期、概算費用も簡単に算出することができる。発注者などへの具体的な計画案の提示や、関係者とのスムーズな合意形成、近隣説明などにも活用可能だ。
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