ビル管理に「スマートグラス」を実戦投入、遠隔から若者に技術を伝授:FM(1/2 ページ)
大京グループのオリックス・ファシリティーズはビル管理や工事検査業務に「スマートグラス」を導入する。遠隔地から作業指示による業務効率化や、若年層にベテランの持つ技術やノウハウを伝えるのに活用していく。
総合ビル管理事業を手掛ける大京グループのオリックス・ファシリティーズは、2017年6月から業務に「スマートグラス」を導入する。遠隔地から作業者に音声による指示や支援を行えるようにし、ビル管理業務や工事作業における検査作業の効率化に加え、新入社員をはじめとする若手社員の教育にも活用する狙いだ。4月22日に同社が管理を手掛ける「すみだ水族館」(東京都墨田区)で会見を開き、スマートグラスを活用した検査作業のデモンストレーションを披露した。
スマートグラスとして採用したのはエプソンが開発した「MOVERIO(モベリオ)」シリーズだ。メガネ型のウェアラブル端末で、装着した作業者の作業視野に重ね合わせるようにして、遠隔地から発信したテキストによる作業指示や画像などを表示させられる。カメラも備えており、作業現場の様子は遠隔地の管理者に送信することができる。マイクやイヤフォンを組み合わせることで、音声による指示ややりとりも可能だ。
オリックス・ファシリティーズは2017年6月からヘルメットに装着できる防水防塵(じん)対応の「BT-2000」を工事検査向けに3台、より軽量な「BT-300」をビル設備の点検作業向けに4台導入する。導入コストはスマートグラス本体とシステムを併せて、合計約150万円程度になるという。
スマートグラスの導入を決めた背景には2つの理由があるという。オリックス・ファシリティーズが事業統括部 業務改革室 室長の堀靖雄氏は「1つが専門技術者の高齢化が進んでいるという点だ。若年層の教育を強化し、ベテランの技術やノウハウをしっかりと伝えていく必要がある。2つ目の背景が将来、人材不足が予想されるという点だ。そのためにも、業務の効率化を進めていく必要がある」と述べる。
こうした背景からオリックス・ファシリティーズはタブレット端末の導入をはじめ、業務におけるICTの活用を推進してきた。そして、これらの取り組みの延長として着目したのがスマートグラスだ。既に2016年5月からビル管理や工事現場など合計20カ所にスマートグラスの実証導入を行っており、一定の成果を得られたという。そこで一部の現場への“実戦投入”を決めた。
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